準々決勝から決勝戦のホームランを一挙紹介!甲子園の“ホームラン銀座”はレフトポール際だ!
☆今週のホームラン!
◎第24号〈第12日・第1試合〉
富田直希(早稲田実業/左打者)
0−0 → 2−0【2ラン】
低めのストレート
レフトポール直撃
初球のストレートを流すと、風に乗って、レフトのポールに直撃する先制2ランとなった。甲子園では、なかなか打撃で結果が出なかった富田。やっと出た一打は、東京代表通算100本目のホームランとなった。
◎第25号〈第12日・第1試合〉
清宮幸太郎(早稲田実業/左打者)
2−0 → 3−0【ソロ】
少しインコースの低めストレート
ライトポール際
第1打席で攻められたインコースにヤマを張った。コースが少し甘くなったストレートを叩くと、ライナーでライトポール際に吸い込まれた。2戦連続のホームラン! ホームランが打てない、内角が打てない、と揚げ足を取ろうとする「アンチ清宮」を一掃する一撃となった。
◎第26号〈第12日・第1試合〉
富田直希(早稲田実業/左打者)
3−0 → 5−0【2ラン】
アウトハイ、ボール球のストレート
右中間深いところ
低めをすくってレフトポールに運んだ次の打席、高めを叩いて右中間へ。胸囲100センチのパワーが生んだホームランだ。
◎第27号〈第12日・第3試合〉
平沢大河(仙台育英/左打者)
0−0 → 1−0【ソロ】
インハイのストレート
ライトスタンド
今夏、話題になった投手の1人、秋田商の成田翔を打ち砕いた。チームに1本もヒットが出ていなかった4回表。インハイのストレートを思いっきりスイングすると、グングン伸びて、そのままスタンドイン。ケガで宮城大会から調子が上がらなかった平沢は、甲子園でもコンスタントに打つことはできなかったが、一振りのインパクトの強さは残した。
◎第28号〈第12日・第4試合〉
長嶋亮磨(関東一/右打者)
0−0 → 1−0【ソロ】
甘めのインハイストレート
レフトスタンド
3回戦のサヨナラ本塁打から2試合連続のホームラン。興南・比屋根雅也に初回3連続三振を喫し、滞る雰囲気を打破した一発となった。
◎第29号〈第12日・第4試合〉
オコエ瑠偉(関東一/右打者)
3−3 → 5−3【2ラン】
インコース低めストレート
レフトスタンド
試合を決めたホームラン。その前の4打席は、内角と変化球攻めで打ち取られていた。そこで、コースはそれまで攻められた内角に、球種は打てるストレートに張ったところ、ドンピシャの投球がきた。厳しいコースだったが、腕をたたみ、回転で打ち返した打球はレフトスタンドに吸い込まれていった。
◎第30号〈第13日・第1試合〉
平沢大河(仙台育英/左打者)
4−0 → 7−0【3ラン】
アウトコースのスライダー
右中間
今大会3本目となる平沢のホームランは、勢いにのる早稲田実業の息の根を止める3ランとなった。代わったばかりの左腕・上條哲聖のスライダーを甲子園の深い右中間へ叩き込んだ。「浜風」の影響でライト方向へのホームランは出にくいが、平沢の3本はすべてセンターより右に引っ張った打球で、いずれも価値あるホームランだったといえる。
◎第31号〈第13日・第2試合〉
豊田寛(東海大相模/右打者)
2−0 → 4−0【2ラン】
インコースストレート
レフトスタンド
3連打で2点を先制した直後の一発。今大会、波に乗れていなかった豊田が息を吹き返すきっかけとなった一発。厳しいコースだったが、腕をしっかりたたみ、内側からバットを出せたことで、レフトスタンドまで飛ばすことができた。また、豊田はその後の決勝戦で4安打の活躍をすることになる。この1本が復調のきっかけとなったことは間違いない。
◎第32号〈第14日・第1試合〉
小笠原慎之介(東海大相模/左打者)
6−6 → 7−6【ソロ】
真ん中高めの落ちないフォーク
右中間
さぁ、最終回! と入ったところの初球。先頭打者は投手ということで、仙台育英・佐藤世那は知らずしらずのうちに気が抜けてしまったのだろうか。高めに抜けたフォークを小笠原慎之介は見逃さなかった。小笠原のスイングは、「打撃には期待しないでおこう」と思われる振りだが、当たればそれは別だった。150キロにも達するストレートを投げられる体内のパワーが、打球を右中間スタンドまで運んだ。
少ないながらも印象深いホームラン
3回戦終了までに甲子園で出たホームランは23本、準々決勝以降で9本、合計32本のホームランが出た。最終的に少なめのホームラン数となったものの、打撃優位の高校が勝ち残ったこともあり、大会が進めば進むほどホームランのペースは上がっていった。
さらに、劇的な一発も多かった。関東一・長嶋亮磨のサヨナラホームラン(中京大中京戦)、同じく関東一・オコエ瑠偉の決勝2ラン(興南戦)、そして決勝戦、東海大相模・小笠原慎之介が9回に放った勝ち越しホームラン(仙台育英戦)。
世の中としては、早稲田実業・清宮幸太郎が2戦連続でぶちかましたことが、大きな話題となり、楽しむことができただろう。たしかに、話題先行だったかもしれない。それでも一戦ごとに周囲を納得させる内容、結果を出していった。そして、ホームランを打つだけでなく、「きっと内角なら打ち取れる」と勝負してきたボールをさばいて、スタンドまで運ぶあたり、清宮の底知れぬポテンシャルを感じた。
最後に、第1回の記事で「ポール際の打球は風に乗る」、「ライトからレフトに向かって吹く『浜風』の影響で、ライトよりもレフトスタンドへホームランが多くなる」という甲子園の特徴を紹介した。実際に、今大会の32本のホームランの方向を調べてみよう。
右打者がレフトへ……………17本
(そのうち10本がポール付近)
右打者がセンターへ…………2本
右打者がライトへ……………1本
左打者がレフトポール直撃…1本
左打者がセンターへ…………3本
左打者がライトへ……………8本
(そのうち2本がポール付近)
今年も甲子園の特徴通りの結果となった。「レフトポール際」と狭い範囲に限定しても、最もホームランが出ており、「ホームラン銀座」だと言っても過言ではないだろう。甲子園でホームランボールを捕りたいと思っている人は、このエリアに陣取ろう。ただ、ポール際のグラウンドに近い一角は、無料で入れる外野席ではなく、アルプス席なので気をつけてほしい。
ライトへ打ち込んだ選手は、清宮しかり、平沢しかり、第1号を放った北海・鎌仲純平、智辯和歌山の山本龍河……ともともと評判高い強打者が多かった。そんななか、唯一、右打者で右中間に放り込んだ東海大甲府・飯塚隆哉。勝手ながらも『週刊野球太郎』的ベストホームラン賞は彼に進呈しよう。
(文=編集部)
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