「結果としてCSには行けなかったけど、あの試合だけ見るとCS進出どころかCS突破すら想像できた。さすが黒田さんだと思った」
(30代/女性/会社員/好きな選手:赤松真人)
2015年のシーズン大詰め。負ければ4位が確定し、シーズンが終了となる阪神との大事な1戦。黒田は疲労とケガで限界に近い状態ながら阪神打線を8回無失点に抑えた。打席では阪神・藤浪晋太郎の剛球を13球も粘るなど、チームを鼓舞。最後まで諦めない、勝ちへの執念がファンの心に強く響いた一戦だった。
◎第2位【2015年3月29日/ヤクルルト戦】「広島のマウンドは最高でした」
「仕事休んで、朝6時前から並んで見に行ったことをいまだに思い出します。無理矢理だったけど本当に行ってよかった。オーロラビジョンに涙を流して喜んでいる人の顔がアップになっていたけど、その気持ちがよくわかります」
(30代/男性/飲食業/好きな選手:黒田博樹)
2015年3月29日、黒田の国内復帰初登板の1戦。試合開始前から、球場が割れんばかりの「大黒田コール」が起こるなど、興奮のるつぼと化したスタジアム。そのプレッシャーのなか、これぞメジャーリーガーという快投で強力・ヤクルト打線を7回無失点に封じた。
「広島のマウンドは最高でした」
勝利後のヒーローインタビューで発した、黒田のこの言葉に涙したファンは多かった。
「録画していた優勝シーンと、胴上げされる黒田さんを毎日のように見ています。あの場面を見られて本当によかった」
(20代/女性/ウェブデザイナー/好きな選手:今井啓介)
「優勝試合の勝利投手が黒田なんて、できすぎた展開で恐い。カープで優勝するために帰ってきてくれた黒田が胴上げされるシーンを見て、あらためてこのチームの主役は黒田なんだなと、思いました。」
(40代/男性/会社員/好きな選手:中田廉)
第1位は、記憶に新しいリーグ優勝を決めた9月10日の巨人戦だ。25年ぶりの優勝を黒田で決めたことには、どこか運命的なものも感じる。
ビーンボール気味の死球を与えた相手投手に激昂するなど、気合いを前面に押し出した投球でチームを奮い立たせ、打線の爆発を誘発した。悲願のリーグ優勝を決めたこの試合こそ、黒田のベストゲームであり、近年の広島のベストゲームであった。
上記に挙げた3試合以外にも、数多くの試合でファンの心を揺さぶった黒田。そのいくつかを紹介しよう。
「試合は負けてしまったが、右手で打球を捕りにいって負傷交代したDeNA戦は感動した。今日が最後の登板と心に決めながらプレーする黒田の気合いと覚悟が見えて、素直にカッコいいと思った」
(30代/男性/ライター/好きな選手:石原慶幸)
2015年8月29日、DeNA戦で物議を呼んだ男気キャッチ。ピッチャーライナーに臆することなく利き腕を差し出す黒田の闘志はファンの心に響いたようだ。
「今日で終わってもいい」というくらい、1試合1試合に覚悟を決めて登板していた黒田。その妥協なきプレースタイルの真骨頂がこのシーンに表れているのではないだろうか?
他にも「藤浪に怒った試合」や「マイコラス(巨人)に切れていた試合」など、黒田の闘志に心揺さぶられたファンは多い。
このように、様々な場面でファンの気持ちを鷲掴みにした黒田博樹。投球内容や試合結果もさることながら、男気と称されるその生き様のように、気持ちが熱いからこそ、ここまでファンに愛されたのだろう。
そんな黒田の現役最後の勇姿を1秒ももらすことなくその目に焼き付けたい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)