昨年のシーズン後に右肘関節の遊離体摘出術を行ったトリプルスリー男・柳田悠岐がすでに3本のアーチを放てば、5年連続開幕投手が確実視される攝津正も2試合に登板し9イニングで自責点0。
その他の主力選手たちも離脱することなくここまで来ている。昨年のベストナイン(DH)にも選出された李大浩の退団は戦力ダウンではあるが、カニザレスと内川聖一とでDHと一塁を上手くやりくりできれば、大きな痛手とはならないだろう。
そんなソフトバンクでも、昨シーズンは固定できなかったポジションがある。そのひとつが二塁手だ。昨シーズンの二塁手の先発出場回数は以下の通りとなっている。
2015年ソフトバンクの二塁手先発回数とシーズン打率
明石健志:45試合/打率.263
本多雄一:40試合/打率.228
川島慶三:32試合/打率.274
高田知季:26試合/打率.237
突出したスタメン回数を記録した選手は不在。この4人の中で、実績で上回るのは本多雄一だが、ケガもあってなかなかリズムに乗れず、途中出場を含めても61試合の出場。打率も4人の中で最低の.228で、自身のキャリアワーストの数字となってしまった。
しかも、他の3人は、明石が一塁手、川島が一塁手、遊撃手、左翼手、高田も一塁手、遊撃手と、二塁手以外のポジションにもついていたのに対し、本多は二塁手のみ。よく言えばスペシャリストだが、ベンチからすれば使い勝手がいいとは決して言えない選手でもある。
ただ、だからこそ二塁手として生き残りへ賭ける本多の思いは強いはず。3月10日の対巨人戦では、レフトオーバーのタイムリー二塁打を含む3安打の固め打ちで猛アピール。この日までのオープン戦の成績を20打数9安打、打率.450とした。
2010年は59盗塁、2011年は60盗塁と、2年連続でハイレベルな盗塁王を獲得している本多は、1984年11月生まれの31歳。まだまだ老け込む年ではない。開幕後も「2番セカンド本多」で固定できるようなら、ソフトバンクのV3がまた一歩近づくことになる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)