「鳥谷が2番でも面白い」
阪神タイガース・金本知憲監督がふと漏らした言葉から、今年の阪神がどう攻めるのかが見えてくるようで興味深い。
鳥谷といえば、
・左バッターで足が速く併殺は少ない
・状況に応じたバッティングができる
・選球眼がよく、四球でも出塁の可能性が高い
というイメージを持つが、バントをするイメージは鳥谷にはない。
金本監督の鳥谷2番構想は、アウトをひとつ相手に無条件で献上する「送りバント」という作戦が、金本監督の頭から消えていることを意味する。
昨年、2番で首位打者のタイトルを獲得した川端慎吾(ヤクルト)を鳥谷にかぶせてイメージしているのだろう。言うまでもなく、鳥谷には2番とはいえ「脇役」ではなく、「主役」ならぬ主軸でいることを要求しているといっていい。
「お前が変わらないとチームは変わらない!」と檄を飛ばした鳥谷に「攻撃的になれ!」といわんばかりだ。
攻撃的2番を据える理由がもう一つある。
今年ルール改正された本塁でのクロスプレーの禁止、いわゆる「コリジョンルール」が厳格化されたことが挙げられる。
キャンプ地で行われている、紅白試合や練習試合で、この「コリジョンルール」での判定が、ことごとく本塁生還を容易にしているのだ。
本塁生還を阻止するため、守備側は内外野ともに以前より前進守備を余儀なくされる。
これにより、内野の前進守備はヒットゾーンを広げ、外野の前進守備は、下手をすれば大量点、ビッグイニングにつながっていく。
2、3点勝負の1点を守る試合展開から打ち合いという大味なゲームが増える公算が強くなるはずだ。
これに合わせて、2番打者も確実に1点を取るための“つなぎ”役から自らも“攻める”役割を担っていく。
阪神だけでなく、各チームとも2番打者のタイプによって、チーム戦略は180度変わったものになる。
昨年のヤクルトの快進撃は当然打順を組む上で各チームの刺激になっているし、「コリジョンルール」も十分検討を重ね、対策を打ってくるだろう。
『2番打者から見る野球!』
こんなところからも野球の醍醐味を味わうことができて面白い!
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。