春季キャンプから、三塁のポジションを高橋と争い続けた。同じ左のスラッガーで、高校時代に薫陶を受けたのは同じ指導者。身体のサイズはともに180センチ85キロ(公称)と、共通点ばかり。互いに意識する間柄だが、ホットコーナーを担えるのは1人しかいない。
結論から言うと、三塁のポジションは高橋のものになった。高橋はオープン戦打率2割を切り、本塁打も序盤に放った1本のみと振るわなかったが、森野がそれ以上に打撃不振に陥ってしまう。13試合で打率.107(28打数3安打)、1打点はさすがに寂しい成績だ。
世代交代をなにかと叫ばれるチームにおいて、ベテランは結果を出さないと苦しい立場に置かれるのは自明の理。森野はオープン戦終了を待たずして、開幕2軍スタートが決まった。
3月22日から2軍の試合に出場している森野。ここで各試合の打撃成績を並べてみよう。
22日vs.広島@ナゴヤ球場
5番・三塁で先発出場 3打数無安打1四球
23日vs.広島@ナゴヤ球場
5番・三塁で先発出場 2打数1安打2四球
24日vs.広島@ナゴヤ球場
5番・DHで先発出場 2打数無安打2四球
25日vs.ソフトバンク@ナゴヤ球場
5番・DHで先発出場 4打数2安打
26日vs.ソフトバンク@ナゴヤ球場
5番・三塁で先発出場 4打数2安打
27日vs.ソフトバンク@ナゴヤ球場
5番・DHで先発出場 3打数無安打1四球1打点
29日vs.オリックス@神戸サブ
5番・三塁で先発出場 4打数1安打2打点
30日vs.オリックス@神戸サブ
5番・DHで先発出場 5打数4安打2打点
計8試合 27打数10安打
打率.370 5打点 7四球
基本的には5番を任されフル出場。守備も三塁を守る機会を定期的に与えられている。
特筆すべきは、8試合すべてで出塁を果たしているところか。ヒットを打たなくても四球を選び、持ち味の選球眼は健在な模様。30日のオリックス戦では2本の適時打を含む4安打2打点の大暴れ。打率を.370まで上げ、格の違いを印象付けている。
近年は主に一塁と三塁を守ってきた森野。今はそのポジションを守るビシエドと高橋が好調を保つも、いつ何が起こるかわからない。いずれベテランの力を必要とする時期も来るはずだ。背番号7としては、上に呼ばれることを待つ日が続く。
文=加賀一輝(かが・いっき)