来春のセンバツの前哨戦である明治神宮大会も終わり、各校の新チームの実力が見えてきた。鬼に笑われるかもしれないが、2020年のセンバツ優勝校を日本一早く予想してみたい。
明治神宮大会優勝の実績もさることながら、投手の完成度では頭ひとつ抜け出している中京大中京。特にエースの高橋宏斗は最速148キロの本格派で初戦では明徳義塾を相手に4安打完封(7回コールド)、決勝では健大高崎を4回無安打に抑えた。
左の松島元希も164センチと小柄ながら、140キロ台後半を叩き出す力があり、冬の成長が楽しみなタイプ。下級生にも侍ジャパンU-15代表に選ばれた畔柳亨丞が控えており、仮に球数制限が導入されても問題なく凌げる投手が揃っている。
野手陣も手堅く、明治神宮大会では無失策。大物打ちはいないが、コンタクトに優れた選手が多く三振が少ない。ムラなく勝てるチームに仕上がっている。
打線の破壊力でいえば、天理が抜けている。近畿大会では4試合で8本塁打、明治神宮大会では2試合で5本塁打。どこからでも本塁打が飛び出す力強い打線ができ上がっている。
秋の大振りはアテにならないことも多いが、近畿大会でも明治神宮大会でも世代を代表する好投手を苦にしなかった。先に紹介した中京大中京の松島や高橋を打ち崩し、敗れたものの9対10の乱打戦を繰り広げた。
気になるのは、秋に敗れた2試合に限って大量失点し、明治神宮大会では常に“乱打戦”の部分。エースの庭野夢叶、台頭中の1年生・達孝太がこの冬、どこまで成長するかがカギ。
昨夏王者、近畿大会4強の履正社も間違いなく実力上位。夏に全国制覇の分、新チーム始動が遅れたが、大阪桐蔭や天理とも互角の戦いを繰り広げた。エースの岩崎峻典は甲子園でも実力を証明済み。2番手以降の投手陣が整ってくれば、当然、夏春連覇も十分にあり得る。4番・主将・捕手の大黒柱を務める関本勇輔もスイングに力があり、落ち着いている。
昨夏主力の池田凜、小深田大地がチームに残っているのも心強い。今春のセンバツでは星稜・奥川恭伸に17奪三振完封を喫したが、その“失敗”を経験しているからこそ、来春は大会の“入り方”に万全を期すはずだ。やっぱり、何だかんだで履正社だったか…というエンディングも想像できる。
文=落合初春(おちあい・もとはる)