2013年から昨年までの4年間続いた和田豊政権。この間の順位は、5位、2位、2位、3位。リーグ優勝こそなかったが、4シーズンで3度もAクラスに入り、2014年はクライマックス・シリーズで巨人を倒し日本シリーズへ進んでいるように、成績はそれほど悪くない。
ただ、その存在感が現役時代同様に渋すぎたのは否めない。その点、金本知憲新監督は、これまでのイメージを一新できる明るさがある。もちろん、現役時代のフルイニング出場世界記録など、多くの伝説を残した鉄人。厳しさも選手たちに波及するはずだ。「超変革」のスローガンにふさわしい監督と言える。
計算できる先発が、藤浪晋太郎、メッセンジャー、岩田稔、能見篤史、藤川球児と5枚揃った。とくに、藤川のメドが立ったのが大きい。オープン戦3試合で打者57人と対戦し6安打、防御率1.20と安定。リーグ随一のラインナップとなっている。
そして、最大の懸念事項でもあった呉昇桓の抜けた穴は、マテオで埋まりそう。150キロ超のストレートにスライダーのキレも上々で、オープン戦6試合・6回2/3で無失点。勝ちパターンが確立できそうだ。
期待の新戦力が1軍ベンチを賑わしそう。その筆頭格が高卒3年目の横田慎太郎と、ドラ1の大卒ルーキー・高山俊だ。オープン戦でチーム最多の15試合に出場し打率.393と打ちまくった横田、同じく14試合出場で.327と合格点の数字を残した高山。1番レフト・高山、2番センター・横田という、新生1、2番コンビが開幕後も多く見られるに違いない。
キャンプからオープン戦にかけて必死さを全面に出してプレーしてきた両選手が、シーズン中もこの調子をキープできるなら、チームのスタートダッシュの原動力となりうる。
当面のライバルとなるのは昨年のリーグ覇者のヤクルト、2位の巨人だろう。ヤクルトはともかく、巨人は昨年来のゴタゴタの震源地とも言える状況で、チームの士気はどうなのか。しかも、昨季13勝3敗のマイコラスは右肩痛で離脱するなど先発投手は駒不足、さらに精神的支柱の阿部慎之助が開幕を前に2軍落ちと、重苦しい雰囲気がなかなかぬぐえない。
ただ、阪神に限らず、他の5球団にとってはのし上がるチャンスであることは間違いない。
ここ3年、オープン戦首位のチームは最低でもリーグ優勝は果たしている。今年、その権利を得たのは阪神。2005年以来のリーグ優勝なるか、注目だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)