昨年の山崎康晃、石田健大の2枚獲りに引き続き、今年のドラフト会議でも大成功を収めたといわれているDeNA。
今年の目玉はなんといってもドラ1左腕・今永昇太(駒澤大)だろう。
福岡県北九州市出身。小学校でソフトボールをはじめ、中学は軟式野球。そこまでは平凡な選手だったが、近所の北筑高に入ると球速がグングン伸びて最速144キロに成長。全国屈指の舞台でプレーすることを夢見て、駒澤大に入学した。
そして昨秋、8完投7勝の大活躍で最高殊勲選手、最優秀投手、ベストナインの個人タイトル三冠を獲得。明治神宮大会でも3試合14回を無失点に抑えて、大学日本一に輝いた。
抜群の制球力と投球術で打者を翻弄する今永の投球スタイル、糸を引くストレートは、大学の先輩である高橋尚成を彷彿とさせると一部では言われている。
一方の高橋尚成は、1999年のドラフト1位で巨人へ入団。コンスタントに勝ち星を積み重ね、2007年シーズンには14勝(4敗)、防御率2.75で最優秀防御率に輝くなど活躍。そのキャリアは日本プロ野球に留まらず、メジャーリーグでも登板を重ね、NPB復帰後はDeNAに在籍して、今季限りで現役引退を表明した。
しかし、いきなり新人王を「ゲッツ!」できるかといえば、不安もある。今春のリーグ戦は左肩を痛めて登板なし。秋になって復帰を果たしたが、ドラフト後、大学での最終戦となる東洋大との入替戦では、6回途中9失点でKO負け&チーム2部降格を喫した。
駒澤大のファン、OBにとっては「ゲッツ」というよりは「Get out of here!!」(信じられない!)と叫びたくなる大惨事だった。昨秋は「プロでも10勝はいける」といわれた今永の状態はどこまで戻るのか…。
いずれにしても、プロ1年目から大活躍、そしてDeNA優勝、祝賀会での尻出しの三拍子がそろってこその「高橋尚成2世」。ハードルは高いが、プロの壁、そしてコンプライアンスの壁を乗り越え、ぜひとも襲名への道を歩んでほしい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)