4人の外国人枠の使い方に関して真中監督は「うちは投手が弱い。3人は投手で使いたい」と発言。中継ぎ候補にはルーキと新戦力のギルメット、先発候補にはこれまた新戦力のブキャナンとオーレンドルフ。この4名で3つの椅子を争うことになる。
開幕試合から外国人投手の初先発までは、間違いなく中継ぎのルーキとギルメット2名を登録し、バレンティンとグリーンの野手2名も登録することだろう。
問題は外国人投手の初先発以降だ。投手3名を先発、中継ぎでどのように振り分けるかが重要になってくる。「先発1名+中継ぎ2名」の振り分けとなりそうだが、気になることが1つある。
オーレンドルフの処遇に関してだ。オーレンドルフは巨人、中日と争った末、ヤクルトが獲得に成功した。その要因は、オーレンドルフは先発での起用を希望し、ヤクルトは先発要員として獲得を目指していたから。お互いのニーズは合致している。ここまでは問題ない。
気になるのはオーレンドルフとの契約内容。契約に「本人の同意なしに2軍降格不可」といった条項が盛り込まれている可能性はないのだろうか。ある程度実績のあるメジャーリーガーだったオーレンドルフならば、そういった契約条項が含まれていてもおかしくない。
その場合、先発の1枠が埋まってしまい、ブキャナンとともにローテーションで起用することが難しくなる。
契約内容が明かされることはないだろうが、投手陣と外国人枠のやりくりにおいて、非常に重要なポイントであることは間違いない。
昨シーズンは、オンドルセクが抑えだったものの「ブチギレ事件」を起こして途中帰国。それ以降は秋吉亮が抑えを務めた。秋吉はシーズンを通して安定した投球を見せ、無事に代役を果たした。しかし、シーズン終了後に真中監督は秋吉の抑えを白紙に戻した。
報道陣には「秋吉は頑張ったがクローザーのイメージを持てない。ルーキ、新外国人らが候補」と語っている。秋吉をクローザーではなく、優勝した2015年のようにセットアッパーや火消し、ときには抑えと柔軟に起用したい思いがあるのだろう。
とはいうものの、抑え候補がたくさんいるわけではない。ギルメット、ルーキ、秋吉を候補に、キャンプとオープン戦での様子を見て判断していくことになりそうだ。
また、昨年投手を担当したコーチの配置が今シーズンから大きく変わった。高津臣吾1軍投手コーチが2軍監督に就任。代わって伊藤智仁コーチと石井弘寿コーチが1軍投手コーチに。そして、この2コーチを戦略コーチ兼投手コーチ補佐として押尾健一コーチがサポートする3人体制が敷かれた。
今シーズンは、ブルペン担当だった伊藤コーチがベンチに入り、石井コーチがブルペンを見ることになるだろう。高津前コーチが取り入れた肩の作り方、準備の仕方が大きく変わることはないだろうが、ブルペンの体制にも戸惑いが生じる可能性もある。
昨シーズン、リリーフ陣は神宮球場ブルペンでは登板予定の回から逆算して肩を作っていた。例えば秋吉が9回から投げるのであれば、8回裏に準備を始める。そして、8回を投げるルーキは7回裏から準備に入るといった具合だ。こういったブルペン運用の方針に変化はあるのだろうか。
今シーズンのヤクルト投手陣は先発、中継ぎ、抑えともに問題は多い。しかし、新体制で立て直しを図り、新たな土台を作ってくれることを期待したい。
文=勝田 聡(かつた・さとし)