1年目から1軍の試合を経験し、2年目にさらに飛躍しつつある選手が目立つ今季のプロ野球界。大ブレイクが見込まれる2年目の逸材たちをピックアップしてみた。
(※成績は6月8日現在)
2017年のドラフト2位でソフトバンクに入団したサブマリンの高橋礼。ルーキーだった昨季は12試合に登板し0勝1敗、防御率3.00。好投も見せたが、勝利、ホールド、セーブともゼロに終わった。
しかし、2年目の今季は開幕からローテーションの一角を任され5連勝(6月8日時点で6勝1敗)。ストレートは90キロ台から140キロ台まで50キロ以上の緩急があり、さらに今季はシンカーが昨年以上に冴えている。まだまだ勝ち星を伸ばしていきそうだ。
あとは、苦手な打者を作らないことが重要。今季、高橋は5本塁打を浴びているが、そのうち中村剛也(西武)に2本、ブラッシュ(楽天)に2本と、この二人はコツをつかまれている感がある。今後、高橋が両スラッガーに対してどう挑むのか、注目だ。
同じくソフトバンクの大竹耕太郎も2年目でブレイク中の一人だ。育成ドラフト4位入団ながら、1年目の昨季、2軍戦で57回2/3を投げ防御率1.87と好投。7月に支配下登録され、そこから1軍でも3勝2敗と能力の高さを見せた。
今季は開幕からローテーションに入り10試合に登板し3勝2敗。勝ち星こそ伸びていないものの、防御率は2.35で、打ち込まれて5回を持たずに降板したのは1回だけ。しっかりとゲームを作っている。
ストレートは最速144キロとそこまで速くはないが、インステップして踏み込むフォームから繰り出す変化球とのコンビネーションが持ち味で、とくにチェンジアップがいいところに決まる。
課題を挙げるとすれば、西武に2試合で9失点と打ち込まれている点。この先、優勝争いが激化していくなかで、「大竹vs西武打線」というのは、チームとしてもポイントとなってきそうだ。
ドラフト2位でDeNAに入団した神里和毅。1年目の昨季は、死球で右足甲を骨折したこともあって、8月途中にリタイアしてしまった。2年目の今季は、開幕6試合目からほぼスタメンで起用され、ここまで55試合に出場し打率.318。昨季の打率.251と比べると成長の跡がうかがえる。
5月8日以降は「1番・中堅」に固定されていることもあって、積極的なプレーが目立っているが、盗塁は企図数15に対し、成功8、失敗7。このあたりをレベルアップさせられれば、リードオフマンとして、さらにチームに勢いをもたらすことができるだろう。
プロ1年目の昨年9月16日、初打席初本塁打という、高卒ドラ1指名にふさわしいド派手なデビューを飾った村上宗隆(ヤクルト)。
2年目の今季は、開幕から主に三塁でスタメン起用され、ここまで全60試合に出場し、打率は.238ともう一歩ながら、リーグ4位の15本塁打、リーグトップの46打点と長距離砲としてのポテンシャルを発揮している。
主力打者としては、アベレージを上げることがこの先の課題ではあるが、それ以上にブラッシュアップが必要なのが守備。高校時代は捕手で、プロ入りと同時に内野手に転向しているだけに、経験不足という側面はあるとはいえ、一塁手と三塁手として出場し、すでに11失策。打たせて取る投球が身上の石川雅規が先発した5月25日には、守備面の懸念もあってスタメン落ちとなった。チームには、名内野手として鳴らした宮本慎也ヘッドコーチがいる。守備面も含め、今後の成長に期待したい。
捕手のポジション争いが12球団一熾烈な巨人。強肩の小林誠司、経験豊富な炭谷銀仁朗とディフェンス面のイメージが強いライバルに対し、打力でアピールしているのが大城卓三だ。
ドラフト3位入団を経ての1年目だった昨季は83試合に出場し、打率.265とまずまずの数字を残した。今季は41試合で打率.281。さらに得点圏打率は昨季の.250から.379と大幅アップ。より勝負強さに磨きがかかっている。
最近は一塁手としても起用され、交流戦に入ってからは指名打者としても出場。それだけ首脳陣から打力を買われているということだろう。
となると、やはり捕手としての総合力アップが課題となる。ここまでの捕手のスタメン出場数は小林が26試合、炭谷が17試合、大城が12試合、宇佐見真吾が1試合。今季は小林が12球団でダントツの盗塁阻止率.615を記録しているだけに、まずはこれに少しでも追いつきたいところだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)