背水の陣を敷き、オフ返上でプエルトリコのウインターリーグに参戦した松坂大輔(ソフトバンク)。約10キロの大減量で「今年こそは」との意気込みが伝わる。
キャンプ初日から連日厳しい練習を敢行し、代名詞でもあった「投げ込み」で復活を図っている。
しかし、14日のシート打撃では最速136キロに留まった。スタイルチェンジを公言しており、この時期としては及第点の球速だが、仕上げのペースの早さの割には伸びていない印象もある。
それでもフォームに関しては評論家、ファンともに評判がいい。昨季の最終戦では素人目にもわかるようなフォームの崩れが見られたが、今春は安定感を増し、全盛期のフォームに近づいた。
まだ首のブレなど課題は残るが、オープン戦に合わせてどこまで作り上げられるか。
日本に戻ってきてからのこの2年間、ファンががっかりさせ続けた松坂だが、みんな復活を望んでいる。オープン戦が最初の山場になりそうだ。
「背番号1で栄光の甲子園時代を思い出せ」との理由で、エースナンバー「18」を手放すことになった斎藤佑樹(日本ハム)。シーズンオフからケビン山崎氏の下でフォーム改造に着手。今までは決して口にしなかった「高校時代のフォームへの回帰」を目指し、ハードなトレーニングを積んできた。
その結果、アリゾナキャンプでは、栗山英樹監督から斎藤へのポジティブな言葉が間欠泉のように噴き出している。それだけでは毎年恒例だが、今年はメディアの声色も明るい。実際に紅白戦では144キロを叩き出しており、しっかりためてから投げる「かめはめ波」投法に手ごたえを感じているようだ。
少し不安なのは映像で見る限り、高校時代のフォームとはかなり異なること。今春は例年以上の高評価を得ているだけに新スタイルを早くオープン戦で見たい。
「毎春、期待を抱かせる男」といえば大田泰示(日本ハム)を忘れてはならない。「今年は違う」「ものすごい打球だ」「4番が張れる」と、5、6年は言われ続けている。
今年もアリゾナキャンプから快音を響かせ、ついに日本の評論家に留まらず、メジャースカウトにも「あいつはなんで結果が出ないんだ」と言わしめた。
トレードにあたって、「自分の長所は長打力。フルスイングで見せていく」と語っていたが、隔年でヒット狙いとホームラン狙いを繰り返している印象も拭えない……。
今年こそは覚醒を信じて、実戦開始を待ちたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)