師匠も街を走り回るほど忙しいといわれる師走。12月も半ばを過ぎ、なにかと慌ただしい毎日を過ごしている読者も多いだろう。プロ野球界もこの時期にきて、慌ただしい日々が続いている。12月に入ってからは特に、FA(フリーエージェント)宣言をした選手の所属先が続々と決定。今オフに宣言した8選手のうち、15日現在で、まだ移籍先が確定していないのは涌井秀章(西武)だけという状況だ。
そして気になるのが、FA選手を獲得した球団と放出した球団同士で行われる移籍による補償がどのようになるのか、ということだ。「金銭補償」と「人的補償」の2つがあるが、ネット上では熱心なプロ野球ファンたちが自身のブログなどで、人的補償の場合、放出される可能性がある、いわゆる“プロテクト漏れ”する選手を予想している。
そこで今回のプロ野球やじうまジャーナルでは、今オフの国内FA市場について振り返りつつ、気になる「人的補償」についても追跡調査してみた(年俸はいずれも推定)。
【FA宣言選手のランクと補償について】
まずはじめに、FA宣言した選手のランク付けについて確認しよう。所属していた旧球団での日本人選手の年俸が上位1〜3位までの選手がAランク、4〜10位がB、11位以下がCランクとなる。その内、A、Bランクの選手を獲得した球団は、その選手が所属していた旧球団に対して、補償をすることが義務づけられている。
★Aランクの選手を獲得した場合
・「年俸の80%」か「選手一人+年俸の50%」を旧球団に補償する
★Bランクの選手を獲得した場合
・「年俸の60%」か「選手一人+年俸の40%」を旧球団に補償する
★Cランクの選手を獲得した場合
・人的補償、金銭補償ともに必要なし
今オフのFA宣言選手で補償が発生する可能性のある選手は以下の5選手だ。
Aランク
大竹寛(広島→巨人)
涌井秀章(西武→?)
Bランク
久保康友(阪神→DeNA)
片岡治大(西武→巨人)
鶴岡慎也(日本ハム→ソフトバンク)
【プロテクト28人のメンバーから漏れるのは誰だ?】
ここで巨人への移籍が決定したAランク選手の大竹寛を例に補償の流れを説明しよう。巨人入団を決心した大竹は、広島を去ることになる。そこで広島は巨人に対して、大竹の年俸(今季は1億円)の80%(8000万円)か、あるいは年俸の50%(5000万円)と同時に人的補償として巨人の選手を一人、要求することができるのだ。
人的補償の場合、もちろん巨人の全選手のなかから誰でも良い、というわけではない。移籍先である巨人は28人の選手プロテクトリストを作成し、広島へ提出する。そのプロテクトリストに載った選手と外国人選手、新人選手以外から、広島は人的補償として要求する選手を選ぶルールになっている。
「プロテクトから外れる」というのはそのリストに載らなかった、つまり主力として見られていない、代わりとなる選手がいるという見方もできてしまうのだ。
【やはり巨人には人的補償を求める方がお得!?】
Aランクの大竹、Bランクの片岡を獲得した巨人は、いい選手を獲得したといえども、28人のプロテクトリストに誰を残すか、頭の痛い問題だろう。考えてみると1軍に登録できる選手数は最大28人で、実際に試合に出場できるのは最大25名。それとほぼ同数の人数でリストを作成しなければならない。特に強大な戦力を誇り、有望な若手選手も多い巨人。1軍レベルの実力があっても、その層の厚さで試合に出場できない選手がゴロゴロいたり、期待の若手を手放したくないから、あぶれてしまう中堅選手がでてきたりする可能性がある。野手なら脇谷亮太、松本哲也、大田泰示あたり、投手なら福田聡志、久保裕也あたりが微妙なラインか。