メジャー通算122発の実績を引っさげて来日したギャレットは、開幕から4番に座り、3月27日、29日、30日と3試合連続ホームラン。「今年の巨人の助っ人は違う!」と誰もが思ったはずだ。
しかし、4月に入ってその打棒は急降下。相手チームに研究され、攻めが厳しくなると、3割を超えていた打率は、ゴールデンウイークあたりには2割そこそこまで落ち込んでしまう。首脳陣もたまらず、5月22日に2軍行きを決断した。
ギャレットは2メートル近い長身ということもあって、スイングは大きい。これがパワーの源ではあるが、一旦スランプに陥ると、フォークボールやタテのスライダーといった手元で落ちる変化球に、この大きなスイングで空振りする姿が目につくようになった。
そこで2軍での練習は、体が突っ込み過ぎないように、ボールをしっかり呼び込んでミートする意識づけに重点を置いたという。
これが奏功したのか、6月10日に再昇格すると、復帰2試合目のソフトバンク戦で右翼席にライナー性の一発。6月26日のDeNA戦では3ラン、ソロ、3ランという1試合3発の固め打ち。8月21日の時点では、打率.267と、徐々に持ち直しつつある。
下の表は、過去10年の巨人の外国人選手のチーム内最多本塁打数である。
◆巨人の外国人のチーム最多本塁打打者
〜2006年から2015年〜
(※カッコ内は、チーム最多)
2006年 イ・スンヨプ:41本塁打(同)
2007年 イ・スンヨプ:30本塁打(高橋由伸:35本塁打)
2008年 ラミレス:45本塁打(同)
2009年 ラミレス:31本塁打(阿部慎之助:32本塁打)
2010年 ラミレス:49本塁打(同)
2011年 ラミレス:23本塁打(同)
2012年 エドガー:4本塁打(阿部慎之助:27本塁打)
2013年 ロペス:18本塁打(阿部慎之助:32本塁打)
2014年 ロペス:22本塁打(同)
2015年 アンダーソン:7本塁打(長野久義:15本塁打)
ギャレットの今季終了時の本塁打数は、ここまでのペースで計算すると26、27本あたりに着地しそう。上の表内の数字と比較すれば、当時と今とのボールの飛び具合の違い等を考慮しても「中程度」という評価が妥当か。
それよりも、8月21日時点で.200という得点圏打率をなんとかしたいところだろう。
一時は失格の烙印を押されかかっていた状況から、持ち直してきているのは間違いない。残るペナントレース、そしてポストシーズンへ向けて、開幕当初のようなパフォーマンスを見せられるか、注目してたい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)