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数年後、ブルワーズのローテーションに日系人投手が入るかも?〜ヘレナ・ブルワーズ編〜≪第2回≫

【この記事の読みどころ】
・遠く離れた地でメジャー入りを夢見る日系人投手
・未来のメジャーリーガーとの遭遇がマイナー巡りの醍醐味
・1人で何役もこなすスタッフは選手以上におつかれ?

 人口約3万、山あいにひっそり咲く花々が美しいモンタナ州の州都ヘレナに、ミルウォーキー・ブルワーズ傘下のルーキーリーグの球団、ヘレナ・ブルワーズがある。2011年ナ・リーグのMVPであるライアン・ブラウンや、昨年のオールスターゲームに出場した捕手、ジョナサン・ルクロイ、1990年代後半から2000年代にかけて長らくミルウォーキー・ブルワーズの顔だったジェフ・ジェンキンスもここでプレーしている。

▲ヘレナ・ブルワーズのマスコットキャラクター「ワーリー君」

どうしても話を聞きたかった選手


 今回、ヘレナを訪れたのは、どうしても話を聞きたい選手がいるからだ。日本人を祖父に持つ日系3世のジョーダン・ヤマモトはハワイのセントルイス高校から2014年ドラフト12順目で指名された、19歳の期待の本格派右腕だ。彼の魅力は150キロを超えるストレートで三振が奪えることだ。今年の開幕投手にも抜擢されことでもわかるように、将来を嘱望されている。


「このチームに合流する前はアリゾナリーグでプレーしていたよ。ハワイから離れていて家族と会えないのはさみしいけど、今やれることを一生懸命やって、昇級していくことしか考えていないよ。目標はメジャーで投げることだけど、現時点ではいつ投げられるかなんて想像もつかないよ」

 現在の気持ちを率直に話してくれたヤマモトに日本でプレーすることについて聞いてみた。

「日本語は話せないけど、いくつかの単語はわかるよ。日本でプレーするのは楽しいと聞いたことがある。野球はどこでプレーしても一緒。もしチャンスがあったら、プレーしてみたいね気持ちはあるよ」

 この日はローテーションの関係で登板予定がなかったため、リラックスした様子でインタビューに答えてくれた。時折見せるはにかんだ表情はまだあどけなさが残っている。

 「ジョーダンは今このチームでいろんなことを学んでいる。今年1年このチームで一生懸命練習して、コントロールに磨きをかければ昇級も見えてくるだろう。彼は将来、ビッグリーグで投げる可能性を大きく秘めているよ」とトニー・ディグス監督も期待を寄せている。

選手との距離が近いマイナーリーグ


 マイナーリーグ観戦の最大の魅力は球場が狭いがゆえに、選手と球団スタッフとお客さんがとても近いことに尽きる。このカインドリックフィールドは観客席の真横にブルペンとティーバッティングようのケージがあるため間近で選手を見ることができる。選手同士の会話やコーチの指導の声まではっきり聞こえるし、ファンが練習の合間にサインをねだることも簡単にできる。もちろん選手も快く応じてくれる。無名のルーキーからもらったサインボールが数年後お宝に化けるということもあるのだ。

▲選手との距離が近いのがマイナー巡りの醍醐味

1人で何役もこなすスタッフ


 余談ではあるが、グレートフォールズで私をアテンドしてくれたボイジャーズ専属ラジオアナウンサーとホットドッグ売り場でばったり会った。とても疲れた表情をしていたので話を聞いてみると、

「昨日、試合が終わったのが10時過ぎてたでしょ。そのあと花火を打ち上げて、すべて撤収したのが午前1時を回ってたんだよ。それから、家に帰って少し寝て、選手たちと一緒のバスでヘレナに移動したから、疲れてるんだ」

 さすがマイナーリーグ球団。GMも専属アナウンサーも関係なく、1人何役もこなす球団スタッフはいつでも忙しいのだ。


■ライター・プロフィール
白柿佳(しらかき・よし) / 20代前半に渡米しマスコミ学の修士号を取得。テレビカメラマンを経て、現在カナダを拠点に取材活動展開中。野球と旅行をこよなく愛すフリーランスライター。その他『地球の歩き方 旅いさら』、『カルガリー・ウォーカー』でも執筆中。

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