本来であれば、夏の高校野球に向けての盛り上がりを伝える本連載『高校野球最前線』。今回は悲しいニュースをお伝えしなければならない。
5月20日、日本高野連と主催の朝日新聞社は今夏の甲子園と代表校を決める地方大会の中止を決定した。
各地で緊急事態宣言が解除され、コロナ禍も収束に向かいつつあるが、まだ練習を再開できていない学校も多く、準備面や第二波の懸念など、課題は山積みだった。
今回の決定を受け、各都道府県の高野連は3年生の無念を晴らすべく、代替大会の開催に向けて動き始めている。
沖縄県ではいち早く7月4日から独自の県大会を開催することを決定。秋田、千葉、愛知、岡山、長崎、佐賀なども開催方針を固めた。福岡は代替大会の開催を断念したが、残る都道府県の多くも基本的には実施の方向になると予想される。
夏の甲子園(全国大会)がなくなったことは非常に残念だが、たとえ無観客であっても最後に仲間とプレーできる晴れ舞台があることを願っている。財政面の不安を抱える地域もあるが、自治体のサポートや地域企業のバックアップなど、検討できる点は多い。ここは大人が頑張る番だ。
夏の甲子園の中止は決まったが、例年であれば、早い地域では8月下旬より来春のセンバツに向けた秋季大会が幕を開ける。
9月からは土日開催が中心だが、今年は授業が大幅に遅れており、土曜日授業を実施する高校も増えることが予想される。
コロナが落ち着いていても「学業優先」に凝り固まれば、秋の高校野球も難しい状況になりかねない。野球に限らず、社会全体が柔軟性を持って対応することが子どもたちを“楽”にしてあげられるのではないだろうか。
文=落合初春(おちあい・もとはる)