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金本、掛布、そして球児…レジェンド帰還で甲子園が沸く!  猛虎たちが紡いだ背番号の系譜

 東の巨人に対し、西の阪神。80年余の歴史を誇る球界屈指の名門は、関西地区を中心に絶大な人気を誇っている。

 本拠地・甲子園球場はチームカラーの黄色に染まり、満員時のスタンドはまさに「黄色い壁」のよう。内野席外野席関係なく誰もがメガホンを叩き、大きな声でナインを後押しする。そんな熱狂的な声援を一身に受ける背番号の系譜を見ていこう。


「6」「31」猛虎復活の切り札! 金本新監督と掛布2軍監督がタイガースに復帰


 「アニキ」と「カケフ」がタイガースに帰ってきた。2003、2005年のリーグ制覇に貢献した金本知憲が1軍監督、1985年日本一時の4番・掛布雅之が2軍監督にそれぞれ今季から就任。ともに引退以来の現場復帰で、金本は4年ぶり、掛布は実に28年ぶりのユニフォーム姿を披露。背番号は当時のまま、「6」と「31」を背負う。

 金本が阪神入りしたのは2003年。前年から闘将・星野仙一監督が指揮を執り、その熱意にほだされた形で広島からFA移籍。以降、2度のリーグ優勝、MVP、打点王と、多くの栄冠を手にした。

 そして、何より凄いのは「連続フルイニング出場」の世界記録達成。12シーズン、1,492試合にわたり出場を続け、今も“鉄人”のイメージが定着している。また、“アニキ”というニックネームでも知られており、誰よりも練習を行い、裏方さんやチーム関係者に細やかな気遣いを見せていたとのこと。後輩に愛のあるイジリをしているだけでは決してなく、現役時代からチームの強化に心血を注いできた過去があるのだ。


 阪神の背番号「6」といえば、藤田平や和田豊といった生え抜き内野手のイメージが強かったが、現在は金本の代名詞で差し支えないだろう。「一度ぶっ壊してでもチームを再建させる、そして勝たせる」と、自らのイズムを現役時代同様「6」番のユニフォームを着て伝える。


「31」を受け継ぐ男は現れるのか


 掛布の現場復帰、そして「31」番の復活に涙を流したオールドファンは多かったのではないか。実際2軍監督としての本格始動となった昨秋のキャンプでは、数百人規模の即席サイン会を連日実施。祝日には1,000人弱を相手に90分間ペンを走らせたというから、その人気は今も健在である。


 現役時代は左のスラッガーとして、349本塁打をマーク。3度のホームランキング、ベストナイン7度の実績はもちろんのこと、打席での一つひとつの細やかな仕草が絵になるバッターで、現在活躍する選手の中でも掛布に憧れを抱いたと公言する者は多い。

 引退後は解説者として名調子をお茶の間に届けていた掛布。他方、「31」番は萩原誠(1992〜1997年)、濱中おさむ(2004〜2005年)、林威助(2006〜2013年)などの強打者タイプが受け継ぐも、なかなか期待に応えられず。チームただ一度の日本一に導いたレジェンドの呪縛に囚われ続けた。

 流れが変わる兆しは2013年に訪れた。この年のオフ、掛布はGM付育成&打撃コーディネーター(DC)に就任。非常勤扱いでユニフォームを着ることはなかったが、指導者復帰の足がかりができた。また、「31」番も林威助の退団以降空位のまま。今思えば、こうなるのは必然だったのかもしれない。

 指揮官が現役時代の番号を背負うのは、ノスタルジーに浸るには最高の演出だ。その一方で、本人たちは自らの後継者が出てきてほしいのが本音としてあるはず。江越大賀や横田慎太郎など、今の阪神には未完の大器と呼ばれる若手が多くいる。果たして2人の在任中に「6」と「31」を託せる男は現れるのか。


「18」藤川球児の新背番号はエースナンバー


 阪神に帰ってきたのは指揮官だけではない。藤川球児も4シーズンぶりに縦縞のユニフォームへ袖を通す。こちらは前回在籍時の「22」番ではなく、「18」番を背負っての再出発。この番号は球界全体におけるエースナンバーのひとつだが、阪神でも右のエースが着けてきた。


 初代の「18」番・若林忠志(1936〜1941年)は七色の変化球を武器に、プロ野球創成期を代表する技巧派投手として活躍。グラウンド外での活動も特筆に値し、没後40年以上が経った2011年以降、チーム内で優秀な社会貢献活動をした選手に「若林忠志賞」が贈られることでそのスピリットは受け継がれている。ちなみに2012年には藤川が受賞。初代とは浅からぬ縁があるようだ。

 平成に入ってチームの暗黒期を支えたのが、藪恵壹(1994〜2002年)。ルーキーイヤーで新人王に輝き、その後はリーグ最多敗戦を3度記録するも「18」番を背に投げ続けた。ちょうど藤川が阪神入りした時のエースが藪で、藤川が渡米前最後の1年はコーチと選手の間柄だった。

 図らずとも今季は先発で回ることが濃厚。火の玉ストレートを武器に1イニングを抑えてきた姿とは少し違う、新たな球児像が見えそうだ。チームを支えてきた先人たちのように、藤川もスターターとして結果を残せるか。

文=加賀一輝(かが・いっき)

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