セ・リーグの盟主として出る杭はしっかり叩いておきたいとばかりに「打倒・広島」に執念を燃やす巨人。
思い返せば、2004年もこんな展開だった。2003年にライバルの阪神に優勝をかっさらわれた巨人はなりふり構わぬ補強を敢行。
2003年にもペタジーニをヤクルトから引っこ抜いていたが、2004年はさらに近鉄からローズを迎え、とどめに無償トレードでダイエーから小久保裕紀を獲得し、万全の打線を構築した。
2004年の打線の主な布陣は以下の通りだ。
1(二)仁志敏久
打率.289/28本塁打/60打点
2(左)清水隆行
打率.308/16本塁打/60打点
3(中)ローズ
打率.287/45本塁打/99打点
4(右)高橋由伸
打率.317/30本塁打/79打点
5(三)小久保裕紀
打率.314/41本塁打/96打点
6(一)ペタジーニ
打率.290/29本塁打/84打点
7(捕)阿部慎之助
打率.301/33本塁打/78打点
8(遊)二岡智宏
打率.269/9本塁打/49打点
なんとスタメン中7名が2ケタ本塁打。20本塁打以上が6名という脅威の強力打線が完成したのだ。代打の切り札に清原和博を据え、清原も12本塁打。この年、チームはプロ野球歴代記録となる259本塁打をかっ飛ばした。
そしてチームは優勝と言いたいところだが、なんと結果は3位。思ったよりも投手陣が奮わず、競り負ける試合が予想以上に多かった。「4番をかき集めて……」批判の論拠となる結果だった。
それでも2004年は、開幕から33試合連続で本塁打が飛び出すなど、エンターテイメント性は抜群だった。
こんなことを言うと野球通の方々にお叱りを受けそうだが、個人的にはたとえ贔屓チームが勝利しても、チケット代を払って球場で「スミ1」の試合は見たくない。投手戦ならテレビで見たい。
確かに2004年の巨人は「脳筋(脳みそまで筋肉の略)」という力技のチームだったかもしれない。しかし、そこにはワクワク感があった。
近年は、「どういうチームスタイルで勝つのか」がハッキリと見えてこない球団が多い。確かに勝利は重要だが、結果だけに傾倒し、緻密になりすぎると野球のマニア化は進む一方だと感じる。
手堅い大型補強もいいが、その進む先が“勝利”だけでは物足りない。ワクワクさせてほしいのだ。2004年のリベンジを果たすべく、巨人さん、来オフは「他球団の4番」を2、3名獲ってくれませんか……?
文=落合初春(おちあい・もとはる)