春季キャンプも中盤に差し掛かり、各球団とも紅白戦などの実戦的な練習が増えてきた。注目となるのは新加入の外国人選手や新人たちだろう。新たな環境で力を発揮できるのか、首脳陣を始め多くのファンやメディアが一挙手一投足を見守っている。
その他ではレギュラー争いをはじめとした各種争いもみどころの一つ。なかでもこのオフシーズンに海を渡った秋山翔吾(西武→レッズ)と筒香嘉智(DeNA→レイズ)の後釜に誰が座るのかは注目度の高い話題となっている。
筒香はDeNAの主将も務めていたが、ラミレス監督は主将の後任に佐野恵太を指名した。昨シーズンの佐野はキャリアハイとなる89試合に出場したものの、規定打席には到達せずレギュラーとは言い難い存在。にもかかわらず、ラミレス監督はチームスローガンでもある「NEW GENERATION IS HERE」になぞらえ、「新しい世代の才能に溢れたキャプテン」と大きな期待を寄せている。
佐野には「主将」としての役割だけではなく、「4番」としての筒香の穴埋めにも期待がかかっている。DeNAの打線を見ると、ソト、ロペス、オースティンといった外国人勢、さらには宮崎敏郎と4番を任せられる存在は多い。なかでもソトは昨シーズンの本塁打と打点の二冠王であり適任に見える。
しかし、ここでもラミレス監督は佐野を推しているのだ。まだ対外試合も始まっていないため、実際にはどのように佐野を起用していくかはわからないが、「4番を打つ能力がある」とコメントしている。
佐野が4番に起用されれば、ポジション的にも収まりがいい。筒香が主に守っていた左翼の穴も同時に埋まる。佐野は「主将・4番・左翼」をすべて埋めることのできる唯一の存在ということだ。佐野にいきなり筒香と同じ活躍を求めるのは酷ではあるものの、チームとしては大きな戸惑いもなく、戦いやすくなるのではないだろうか。
至るところでラミレス監督は佐野を推している。それが佐野を発奮させるためのリップサービスなのか真意なのか……答え合わせはもうすぐだ。
秋山も筒香と同じくチームでは主将を務めていた。その主将には同じセンターラインの源田壮亮が託された。すでにその自覚も芽生えており、「投手陣と食事に行きたい」と投手・野手の垣根を作らないように率先して行動する意気込みを見せている。一方で、守備位置そして打順の穴は遊撃を守る源田では埋まりそうにない。
辻発彦監督も頭を悩ませるところだろうが、その穴を同時に埋めることのできる選手が存在する。金子侑司である。
すでに中堅のポジションに関して辻監督は金子を指名し、本人も了承済み。大きな問題とはならなさそうではある。しかし、リードオフマンに関しては、なかなかすんなりと決まらなさそうな雰囲気だ。
本来であれば2度の盗塁王を獲得し、足の使える金子が収まるのが理想的。しかし、金子は昨シーズンも打率.251、出塁率.324とリードオフマンとしては少し物足りない数字。キャリアで見ても、(320打席しか立っていないが)2017年の出塁率.333が最高の成績と不安がある。
その他の選手では、新外国人選手のスパンジェンバーグや外崎修汰といったところだろうか。また、出塁率は金子と同じ水準ではあるが、源田が任される可能性もある。
いずれにしても、練習試合やオープン戦の結果を見ながら判断していくことになる。金子が秋山の穴を2つ同時に埋めることができれば理想だが果たして。
文=勝田聡(かつた・さとし)