今年のプロ野球界において3割30本30盗塁、いわゆる“トリプルスリー”を達成しそう選手が2人いる。ひとりはソフトバンク・柳田悠岐、そしてもうひとりがヤクルト・山田哲人だ。特に山田は、トリプルスリーはおろか、さらに上の領域に届くかもしれない。
80年の歴史を誇る日本プロ野球の中で、トリプルスリーを達成したのはわずか8名。一覧は以下の通りだ。
そこで山田に狙ってほしいのは、シーズン40本塁打40盗塁。実はこの記録、日本球界では誰も達成したことがない。最も近づいたのは秋山幸二(元西武ほか)で1987年に43本塁打38盗塁、1990年に35本塁打53盗塁とわずかに足らなかった。
海の向こう・メジャーリーグでは“フォーティー・フォーティー”と呼ばれているが、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲスなど過去に4名しか達していないレアな記録なのだ。
今年の成績を見ると、7月に打率.434、10本塁打をマークした通り、打撃での爆発力は折り紙つき。この爆発力がシーズン終了まで持続すれば、40本塁打も夢ではない数字だ。また、盗塁成功率が.862(盗塁機会29回中成功25回)とかなり高い数字を誇っており、このペースで積み重ねていけば40盗塁も現実的なラインとして考えられる。
これまでのトリプルスリーやフォーティー・フォーティーは、外野手または遊撃手による独壇場だった。しかし、山田は二塁手として大記録の達成をうかがっている。我々は今、歴史の証人になろうとしているのだ。
(文=加賀一輝)