投手から見ていくと、やはり2014年のドラフトで揃って1位指名された高橋光成(西武、1997年2月3日生まれ)、安樂智大(楽天、1996年11月4日生まれ)、松本裕樹(ソフトバンク、1996年4月14日生まれ)の動向が気になるところ。
まずは1年目から1軍で登用され、この2年間で通算9勝(13敗)と、ほかの2名に勝ち星で先を行く高橋。2年目となる2016年に早くも「1軍完走」を果たしたことで、アクシデントがなければ、今季もローテーションの一角を担う。
ただし、FAでエースの岸孝之が移籍したため、まだ3年目ではあるが、その右腕にかかる期待はこれまで以上に大きなものとなる。プレッシャーを跳ねのけて、菊池雄星、多和田真三郎とともに新三本柱を形成できるか。
続いては、1年目の1軍登板は1試合に留まったものの、その唯一の1軍登板で公式戦初登板初勝利を挙げ、「もってる」ことをあらためて知らしめた安樂。よい流れを維持し、2年目は1軍で先発として12試合に登板(3勝5敗)するなど成長を遂げた。
しっかりと階段を登っており、慌てず焦らず新成人のシーズンを戦ってもらいたい。1年を通して1軍で投げられれば、結果は自ずとついてくはずだ。
松本は故障を抱えながらも、ソフトバンクからドラフト1位指名を受けた好素材。とはいえ1年目は故障を癒すため、一度も登板せずに過ごした。
迎えた2年目は、徳島インディゴソックスとの定期交流戦で挙げた完封勝利を皮切りに、ファームで9試合に登板し5勝(1敗)を挙げた。投げることができなかったルーキーイヤーのうっぷんを晴らすかのような好投を続けた。
好投が評価された松本は、シーズン終盤に1軍の切符をつかんだ。しかし、記念のマウンドはホームランを打たれるなど苦い思い出となった。この経験を糧できれば、1軍初勝利を挙げる日も近いだろう。
一方、野手は岡本和真(巨人、1996年6月30日生まれ)と淺間大基(日本ハム、1996年6月21日生まれ)に注目したい。
ドラフト1位で巨人に入団した岡本。2015年のルーキーイヤーは17試合に出場して打率.214、1本塁打、4打点だったが、2016年は3試合で打率.100、本塁打と打点はともにゼロと停滞した。
三塁には村田修一がどっかりと座り、その上、マギーが加入するなど逆風が吹き荒れている。分厚く高い壁がそそり立っているが、1軍で試合に出場するため外野に挑戦するなど、前向きな姿勢を見せている。今季が転機になることを願う。
淺間はドラフト3位で日本ハムに入団し、2015年は46試合、2016年は52試合に出場。打率は.285.から.191に落としてしまったが、試合数でいえば岡本とは対象的な道を歩んでいる。
しかし西川遥輝、岡大海、近藤健介、陽岱鋼を擁する日本ハム外野の層は厚く、レギュラー奪取までは至らず。しかし、陽がFAで巨人に移籍したことで、レギュラーへの道は開けてきた。
もちろん、日本一の立役者たちの牙城を崩すのは容易ではないが、淺間がレギュラーを脅かすまでに成長すれば、日本ハムの外野陣はさらに強固なものとなる。自分のため、引いてはチームのためにレギュラーを狙え!
「1996/1997年世代」は、1学年上に森友哉(西武)、松井裕樹(楽天)らの世代がおり、1学年下にオコエ瑠偉(楽天)らの世代がいることから、世間的にはあまり目立たない世代と目されている。
しかし、1年目から1軍で成績を残した選手はさほど遜色なく、実力派が揃っている。
それだけに松本や岡本らが大爆発して、「1996/1997年世代ここにあり!」と高らかに宣言してほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)