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球種の34パーセントがチェンジアップ! 中日・若松駿太の魔球が3年連続Bクラスのチームを救う


 カットボールやワンシーム、ツーシームなど、近年の変化球の進化は目を見張るものがある。そんな現代のプロ野球界で異彩を放つ変化球を武器にする投手たちにクローズアップ!

 前回、取り上げたのは菅野智之(巨人)ワンシーム。第2回目の今回は、昨シーズン大ブレイクした若松駿太(中日)のチェンジアップを取り上げたい。

◎代名詞はチェンジアップ

 ストレートの球速は平均133キロ。規定投球回を超える投手のなかでもっとも遅い。そんな若松の決め球がチェンジアップだ。

 若松が放る球種の割合はストレートが約47パーセント、チェンジアップが約34パーセント。80パーセント以上がこのふたつで成り立っている。ストレートとチェンジアップのほぼ二択と思ってもいいだろう。それでも、打者のバットは空を切ってしまうのだ。

 若松のチェンジアップは、ストレートと同じ軌道で1.5メートル遅れてベースに届く。そんな魔球・チェンジアップの秘密は回転にあるという。

 通常のチェンジアップはシュート回転してシンカーのように落ちる。しかし、若松のチェンジアップはストレートと同じような回転で向かってくる。打者はバットを振ってから、チェンジアップだったと気づくのだ。


金子千尋、菅野智之との共通点


 このチェンジアップは、金子千尋(オリックス)からヒントを得たという。

 金子自身の考え方はこうだ。全ての変化球は、同じフォームから放たれ、同じ軌道を通って、ある一点から上下左右に変化していくことが理想。これは若松のチェンジアップの特徴に通じる。そして、前回取り上げた菅野の考え方にも共通するものがあった。

 変化球は単に大きく曲がればいいわけではない。他の球種と見分けがつかないようにして幻惑させるのが、打者を抑えるコツともなるのだ。

プロ入りの恩人、亡きスカウトに捧げる熱い想い


 若松にはマウンドに上がる前に行う儀式がある。帽子のツバの裏をみるのだ。

 そこには、甲子園出場もない自分に目をかけ、プロの世界に引き入れてくれた故・渡辺麿史スカウトの名前が書いてある。その恩人に対して、勝つことこそが最高の恩返し。渡辺スカウトは「プロ入り後3年で出てくる」と周囲に語っていたという。その予言通り、若松は結果を出した。天国の渡辺スカウトも喜んでいることだろう。

 開幕当初はビシエド効果で好調だった中日。しかし現在、混セの2位争いから抜け出せず、首位・広島に大きく水を開けられている。下手をしたら4年連続Bクラスで終える可能性もある。

 中日は球団設立以来、4年連続Bクラスだったことはない。不名誉な記録を阻止するために、後半戦も伝家の宝刀・チェンジアップで打者を手玉にとる若松に期待したい。


文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中。

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