ドラフト会議から約1カ月半が過ぎ、今は金の卵たちが続々と入団会見を行っている時期である。だが、マニアな野球ファンの目はすでに来年のドラフトに向いている。もちろんまだまだ先のことであり、来シーズンの球団の動向も、ドラフト候補選手の成長もわからない。だからこそ、指名予想が楽しい時期でもある。今回は「独断と偏見」で12球団のドラフト1位を妄想してみた。
浅村栄斗、炭谷銀仁朗がFAで移籍、菊池雄星の渡米も濃厚と相次いで主力が流出し、補強ポイントは多い。しかし、野手は育ちつつあるので、ここは投手陣の整備を行いたい。そのドライチ候補のなかでは左の及川雅貴(横浜高)が光る。西武は多くの高卒投手が育った環境があるだけに育成に不安はない。
内野手の高齢化に備え増田珠、野村大樹と2年連続三塁候補を獲得。二遊間は川瀬晃や牧原大成ら20代の選手が多い。そのために、来年のドラフトでは投手陣を整備したい。それも即戦力ではなく、超高校級の素材をじっくりと育成したいところ。うってつけなのが佐々木朗希(大船渡高)だ。競合必至だが、恐れずにいく。
補強ポイントにかかわらず、その年のナンバーワンと思われる素材を1位指名する方針の日本ハム。現時点でのナンバーワンは佐々木朗希(大船渡高)だろうか。全国の舞台における実績はないが、最速157キロのストレートは魅力。岩手県出身、150キロ超の快速右腕は大谷翔平(エンゼルス)を彷彿とさせる。
ローテーション投手の金子弌大と西勇輝が流出したオリックスは即戦力の投手がほしいところ。山岡泰輔、田嶋大樹と高卒社会人選手の指名が多いことから太田龍(JR東日本)。チームにはJR東日本OBの田嶋、吉田一将、西野真弘らが在籍しており、環境面でも不安はない。
平沢大河、安田尚憲、藤原恭大と高校生野手の目玉を次々と獲得しているロッテは、高卒の投手で勝負。岩下大輝、種市篤暉ら若手投手が育ってきているが、ここで将来のエース格を期待できる素材として、奥川恭伸(星稜高)を手に入れたい。
近年は野手を上位指名してきただけに高校生投手を指名したい。ならば、岩手出身の佐々木朗希(大船渡高)をぜひとも獲得したいところ。だが、石井一久氏がGMに就任しての最初のシーズンだけに、ペナントレースの順位次第で方針が大きく変わる可能性もある。
今年、高校生遊撃手の小園海斗を抽選の末に獲得した広島は、高校生投手を1位指名したい。となると、地元・広島出身の西純矢(創志学園高)がクローズアップされる。2年生ながら150キロを超えるストレートを投げており、注目度は高い。広島が高校生の投手を1位で獲得したのは、2009年の今村猛が最後。10年ぶりにドライチ高校生投手を解禁だ。
チーム事情的には外野手が欲しいものの、1位で指名するほどの素材は不在。となれば、先発投手の補強が濃厚だ。最速150キロを超えるストレートにカットボールが武器の森下暢仁(明治大)がイチ推し。神宮球場を主戦場とする明治大のエースがヤクルトのエースになることを期待。
左の強打者、外野手不足だった巨人だが、丸佳浩を獲得したことで一気に穴が埋まった。ここから投手陣を揃えていきたい。即戦力というよりは、素材型の育成として松井秀喜氏(元巨人ほか)の母校でもある星稜高のエース・奥川恭伸(星稜高)を指名したい。
近年は即戦力投手を1位で獲得してきたDeNA。今年は高校生内野手の小園海斗(報徳学園高→広島)を指名したが、抽選で外し結果的に東洋大の上茶谷大河を獲得。また、課題の二遊間では伊藤裕季也を獲得した。ならば、即戦力捕手として佐藤都志也(東洋大)を正捕手候補として指名したい。
根尾昂を獲得して勢いに乗る中日だが、谷繁元信氏以来、正捕手の固定ができずに苦しんでいる。そこで大学生捕手から郡司裕也(慶應義塾大)をピックアップ。佐藤都志也(東洋大)や有馬諒(近江高)ら上位候補の捕手は他にもいるが、郡司の総合力に期待したい。
投手陣を中心に指名していく方針が明らかになった阪神。浜地真澄、才木浩人、小野泰己ら若手先発候補は右投手に偏っている。そこで左投手の及川雅貴(横浜高)を指名したい。高卒左腕では井川慶以降、目立った活躍もないだけに、そろそろ育成したい。
さて、この時期だから許される(?)であろうドラフト1位の指名予想。答え合わせは来年のドラフト会議だ。
文=勝田聡(かつた・さとし)