1989年、吉岡コーチは帝京高3年時にエースとして夏の甲子園優勝。同年秋のドラフト3位で巨人入りしたものの、肩を痛めて打者へ転向。花開いたのは、1997年にトレードで近鉄に移籍してからのことだった。
2001年、2002年と2年連続で26本塁打を放つなど、猛打を奮った「いてまえ打線」の中核として活躍。そこから、楽天、メキシカンリーグでプレーし、2010年に現役を引退している。
その後は、おもに独立リーグの指導者として手腕を発揮していた。2014年から今年まで監督を務めたBCリーグ・富山GRNサンダーバーズでは、今年のドラフトでロッテから育成1位で指名された和田康士朗を見出し、育成ながらNPBの指名を受けるまでに育て上げている。
2軍打撃コーチの就任会見でも独立リーグでの指導者時代に触れ、日本ハムでの育成について力強くコメントしている。
「独立リーグとレベルは違うかもしれないけど、上に向かって必死にやっているのは同じ。型にはめないで、コミュニケーションを取りながら何が一番力を出せる方法なのかを考えていきます」
前述したように、帝京高出身で、とんねるずのスポーツ番組の名物企画「リアル野球盤」でもおなじみの人物。そして、チームには杉谷拳士、松本剛、石川亮、郡拓也と帝京高の後輩が4人も在籍している。
「(リアル野球盤で共演した)杉谷は伸び悩んでいるからカツを入れます!」と、さすがにイジリどころをわかっている。
若い選手がどんどん出てきてこその日本ハム。イースタン・リーグ首位打者の高濱祐仁、同本塁打王の森山恵佑、ドラ1の清宮幸太郎など、育てがいのある好素材は多い。5位に終わった今季からの逆襲には、若手の台頭が不可欠。吉岡コーチの指導に期待がかかる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)