大隣は2008年11勝、2012年12勝と、ソフトバンク時代に2度の2ケタ勝利を記録。難病の黄色靭帯骨化症やヒジの痛みなどもあり、安定して活躍はできていないが、左腕から繰り出すストレート、スライダー、チェンジアップ、フォークを駆使し、侍ジャパンに選ばれたこともある実力者だ。
ここ2年、1軍では1試合ずつしか投げておらず、ファームでも2016年が20試合で防御率4.34、2017年が22試合で防御率5.20と、いまひとつ。33歳という年齢からも、全盛期の球威は望めないかもしれないが、制球力を含めた投球術は健在なはず。
ソフトバンク不動の遊撃手・今宮健太は、書籍『二遊間の極意』(廣済堂出版刊、立浪和義著)での元中日・立浪氏との対談のなかで、「守りやすいピッチャーはいる?」と問われ、「ソフトバンクだと大隣さんが守りやすいです。コントロールがいいので」とその名前を挙げているほどだ。
昨季は最下位に沈んだロッテ。投手の勝利数トップは二木康太の7勝(9敗)だったが、大隣と同じ左腕に限ればチェン・グァンユウの3勝が最多。ほかに勝利を記録している左腕はセットアッパーの松永昂大だけ(1勝)という、かなり厳しい状況だ。
昨秋のドラフトで、山本大貴(3位、三菱自動車岡崎)、永野将司(6位、Honda)と2人の社会人左腕を取り、新助っ人として3Aで9勝のオルモスが加わるとはいえ、どこまで戦力になるかは未知数。深刻な左不足は変わらない。今季、ベテラン・大隣の力が必要となる場面が必ずくるだろう。
文=藤山剣(ふじやま・けん)