2頭目の愛馬の名前はツキノミチ(牝3歳/栗東/清水久詞厩舎所属)。北海道の牧場にこの馬を見に行ったとき、満月の光が海面に反射し道のようになっていたことから命名したという。
血統は、父がルーラーシップ、母がアクセレラン、母父がアグネスタキオン。兄姉に活躍馬はいないが、この世代が初年度となるルーラーシップ産駒は、ダンビュライト(弥生賞3着、きさらぎ賞3着)、キセキ(毎日杯3着)、キングズラッシュ(東スポ杯2歳ステークス4着)など重賞での好走馬が出ており、期待の血統だ。
デビューの地は中京競馬場、芝1400メートルの未勝利戦。未勝利戦ということで、初出走も含めてまだ勝ったことのない馬たちを集めたレースではあるが、過去に2着や3着を続けている馬もいて、このクラスにしてはレベルが高いメンバー構成だった。ツキノミチが18頭立ての15番人気(単勝206.9倍)という低評価だったのも、ある意味、妥当だったかもしれない。
しかし、レースではその低評価を覆す走りを見せた。2番枠からスタートしたツキノミチは、インの4、5番手という好ポジションをキープし、直線でややフラつきながらもそのまま5着でゴール。競馬に慣れていけば、さらにスムーズに走れるだろう。
吉井コーチのブログによると、幼少期は「お母さんを間違えて違うお母さんのおっぱいを吸いにいってしまうような、ぼーっとした子だったらしいです」とのこと。
たしかに、パドックでもおっとりとしていて、まだまだ幼さが感じられた。ただ、そんな現状で強いメンバーに交じって5着に走れたということは、メンタル面も含めて、まだまだ成長の余地があるとの見方もできる。
次は、おそらく4月中旬あたりの出走か。吉井コーチの1頭目の愛馬フォーシームは、現在、地方競馬の名古屋に在籍しており、そこで3勝を挙げてはいるが、馬主として中央競馬での勝利はまだ。ツキノミチが吉井コーチに初白星をもたらしてくれるか、注目だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)