ドラフトがあと1カ月ほどに迫ってきた。今年の高校生は佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)を中心とし、甲子園で活躍した選手、さらにはU-18ベースボールワールドカップで結果を残した選手が人気を集めそうだ。
一方で最後の夏は力を発揮できなかったが、プロから注目を浴びている存在は多い。彼らの今夏の戦いを振り返ろう。
「高校BIG4」の一角・及川雅貴(横浜)は昨夏の甲子園以降苦しんだ。
背番号「1」を背負った今春のセンバツでは、初戦の明豊戦で先発するも3回途中5失点(自責4)でノックアウト。大差がついた終盤に再びマウンドに上がり、1回1/3を無失点に抑えたが時すでに遅し。トータル4回を投げ5失点(自責4)と不完全燃焼に終わった。
センバツ後の春季大会では背番号「1」を1学年下の木下幹也に譲り、背番号「10」を背負った。短いイニングでの登板を続けながら、徐々に調子を上げ、夏の神奈川大会では再び背番号「1」を取り戻している。
その神奈川大会では5回戦までにトータルで9回を投げ無失点。課題だった制球面も改善され、与四死球はわずかに2つと順風満帆かに見えた。しかし、準々決勝の相模原戦では、中継ぎとして登板するも1回2/3回を被安打3、与四死球2で3失点。逆転負けを喫してしまい、3年連続で夏の甲子園に立つ夢は叶わなかった。
150キロを超えるストレートにスライダーは一級品。制球面での課題はあるものの、一貫してプロの評価は高い。最後の夏の悔しさをプロの舞台で晴らすことができるだろうか。
最速150キロのストレートを持つ鈴木寛人(霞ヶ浦)。身長186センチという大型右腕ということもあいまって、プロからも注目を浴びる存在だった。しかし、初めての全国大会となった今夏の甲子園では真価を発揮できなかった。
鈴木は初戦で強豪・履正社と対戦。初回、いきなり先頭打者本塁打を浴びると、2死後に4番の井上広大にも一発を許し2失点。2回も2失点を喫し、なかなか立て直すことができない。3回にはこの試合3本目となる本塁打を浴び、この回の途中で降板。結局2回1/3で7失点(自責5)と苦い投球内容に終わっている。
昨夏の甲子園で2年生ながらマウンドに立ち、10回無失点投球で一躍注目を浴びた根本太一(木更津総合)。しかし、新チームになってからは右肩を痛めたことで離脱した。
最後の夏は背番号「11」で千葉大会に臨んだが、2回戦の柏井戦で6回途中3失点と初戦から万全とはいかなかった。その後、2試合連続で無失点投球を見せるも、準決勝の習志野高戦では3回を投げ2失点。昨年のような本調子に戻ることはなかった。
同校OBで高卒プロ入りを果たした選手は1968年の宇佐美和雄(元西鉄、当時は木更津中央)まで遡る。進学、もしくは社会人入りが既定路線となりそうだが果たしてどうか。
岡林勇希(菰野)も注目の存在だ。兄・飛翔が広島の育成投手としてプレーしていることとしても知られている。今回、ドラフト候補に挙がっている弟の勇希は、二刀流の可能性もある。投手としては最速150キロを超え、さらには打撃センスもある。
今夏の三重大会では打率.417とバットで存在感を示していた。一方、投手としては準決勝の海星戦で8回6失点、被安打13と打ち込まれ敗戦。甲子園へ出場することは叶わなかった。
投手、野手の両面ともに飛び抜けた存在というわけではないが、どちらも素材型として魅力がある。本人の希望もあるだろうが、投手、野手どちらで評価されるのかにも注目したい。
このように今夏に結果を残せなかった選手の中にもドラフト候補は多くいる。彼らのなかから、どれだけの選手が名前を呼ばれるか注目だ。
文=勝田聡(かつた・さとし)