日本のプロ野球団が本拠地とする球場のなかで最も古いのが阪神甲子園球場。1924年に開場し、90年以上の時が経過している。ちなみに、甲子園球場の次に開場したのは明治神宮野球場(1926年開場)、その次は宮城球場(現Koboパーク宮城、1950年開場)だ。
1988年に東京ドームが開場してから多くのドーム球場が建設され、ボールパーク化が叫ばれるなか、甲子園球場は今も伝統を守っている。
また、メジャーリーグで使用される球場を含めても3番目に古い球場となっており、その歴史の深さは計り知れない。
■球場開場年(本拠地とする球団名)
1912年:フェンウェイ・パーク(レッドソックス)
1914年:リグレー・フィールド(カブス)
1924年:阪神甲子園球場(阪神)
1926年:明治神宮野球場(ヤクルト)
1950年:宮城球場(現Koboパーク宮城、楽天)
日本では1914年に水洗便器が初めて登場したことをご存じだろうか。それから10年後に開場した甲子園球場には、時代の最先端をいく水洗トイレが設置されていた。
当時は、一流ホテルなどにしか水洗トイレは設置されておらず、非常に珍しいものだった。そのため、水洗トイレが甲子園球場の目玉の一つにもなっていたほど。また、甲子園球場では同じく、当時、珍しかったカレーライスやコーヒーも食することができた。いかにハイカラな施設だったかがわかる。
事実、水洗トイレを試したいために甲子園球場へ訪れる人もいたという。近年では、DeNAが女性を取り込むために横浜スタジアムのトイレを改善したが、同様のことを90年近く前から行っていたことになる。当時、どれくらいのマーケティングを行い、集客効果を睨んでいたのかは不明だが、エンターテインメントにおける先見の明があったのは間違いない。
東京ドームをはじめとしたドーム球場では、多くのアーティストがライブを行っている。ライブのタイトルに球場名を入れることで、球場名を「名物ライブ」の代名詞にしているアーティストもいるほどだ。
野球場でのライブは雨天のトラブルを避けるため、ドーム球場で行われることが一般的だが、甲子園球場でもライブが行われることはある。
そのなかで有名なのは夏の季語的アーティスト・TUBEのライブ。1991年から2015年までの25年間にわたって、ライブを行ってきた。
また、2016年には女性ソロアーティストとして初めて水樹奈々がライブを敢行。荒天のなか、37,000人を動員する人気ぶりを見せつけた。しかし、天然芝へのダメージなど問題点も多く、本人と所属事務所がライブ後にHP上で謝罪する事態となってしまった……。
今後、甲子園球場でのライブ開催は行われるのだろうか。「聖地」だけに、希望するアーティストも多いだろう。甲子園球場の対応にも注目したい。
甲子園球場にはこのように様々なトリビアがある。プロ野球、高校野球以外のエピソードに注目するのも面白い。野球好きならではの知識を、周囲の野球仲間と語りあってみてはいかがだろうか。
文=勝田聡(かつたさとし)