プロ野球も終盤戦。セ・パ両リーグともに、残り僅か数試合といった状況だ。
その裏で、2軍は9月27日に全日程を終了。イースタンは、巨人が6年ぶりに優勝を果たし、ウエスタンは史上初となる、ソフトバンクが4年連続優勝を決めた。
この時期のファームの個人成績を見ると悲喜こもごも。伸びてきた若手もいれば、ファームでは好成績を残しても1軍に上がれない「2軍の帝王」もいる。
そんなファームで活躍する男たちの中から、注目選手をピックアップ。まずはウエスタン・リーグから紹介しよう。
(成績はすべて9月27日時点)
≪77試合 .299 11本 38打点≫
2004、2005年と三冠王に輝き、現役唯一の三冠王経験者の松中も今年は2軍漬けだ。1軍の絶好調に加えて、12月に42歳となる年齢もネックとなり、実質“構想外”の形だ。それでも2軍では力の違いを見せつけ、チームを牽引する原動力となっている。
1軍の優勝が決まったことにより、ファームで好成績を残している松中の昇格もようやく決まった。代打の切り札としてポストシーズンの戦力になれるのか? と期待した矢先、9月29日にはなんと、ソフトバンクを退団することが発表された。ホークス一筋19年の松中。現役続行をかけた戦いは、これからはじまる。
≪90試合 .324 18本 56打点≫
本塁打・打点はリーグ1位、打率はリーグ2位と、ウエスタン打者部門では「ほぼ三冠王」のカニザレス。2年目となる今年も1軍の李大浩、スタンリッジ、バンデンハーク、サファテの外国人四天王に阻まれ、8月と9月にそれぞれ1度だけ昇格。14試合の出場にとどまっている。
非凡な打撃を持っているだけに、このままではもったいない。35歳という高年齢も鑑みれば、新天地を探すことも視野に入る。貧打に悩む球団はぜひ検討を!
≪48試合 .315 14本 35打点≫
外国人枠に阻まれている男は阪神にも。今年6月にBCリーグ・石川から獲得したペレスは打撃には目を見張るものがあり、広角に打ち分ける打撃は逸品。本塁打率は他の追随を許さず、薪をするどく割ったようなバットの音は、2軍レベルではない。
そんなペレスにチャンス到来。27日、右内転筋の張りで呉昇桓が登録抹消したこともあり、28日には1軍初昇格を果たした。6番右翼でスタメン出場したペレスは、2打数無安打に終わったものの、助っ人としてはまだまだ若い27歳。今後に期待したい逸材だ。
≪103試合 .2443 8本 50打点≫
176センチ95キロの重量級。岡山・創志学園高出身、プロ2年目のスラッガー候補が成長を見せている。ドラフト6位の隠し玉だったが、芯を食った打球は、西武・中村剛也を思わせる見事な放物線を描く。
課題は安定性。春先は打率も3割台に乗せていたが、波のあるタイプで徐々に打率を下げてしまった。この冬、もう一回り成長し、来季はオリックスの救世主として、鮮烈デビューを飾りたい。球界が渇望する右投右打の大砲の今後から目が離せない。
≪32試合 1勝2敗10セーブ 防御率1.89≫
近年、大当たり助っ人を引いている広島。今季新加入のザガースキーもファームでセーブ王のタイトルを獲得した。投球内容も安定感があるが、1軍でヒースが好成績を残しているため、2軍に置かれている状況だ。
4〜5月には1軍でも投げ、19試合で防御率2.40と及第点の成績を収めていたが、緒方孝市監督いわく「四球が多い」との理由で2軍へ。1軍での「15回・与四球7」でも御眼鏡に叶わなかったようだ。
183センチ109キロの巨漢のピッチングには、ロマンが詰まっている。彼の雄姿をもっと見てみたいというプロ野球ファンは多い。
【番外編】栗原健太(広島)
≪29試合 .132 1本 2打点≫
2013年のスランプ以降、1軍昇格のない栗原。昨年オフに3度目となる右ヒジ手術を受けたが、今年も調子は上向かず、スタメン出場もできていない状況だ。33歳と働き盛りの時期で、この成績は物足りない。
かつての4番の復活に期待を寄せるカープファンも多かったが、とうとう現役生活に黄信号が灯っている。大物選手の引退も多いが、栗原の去就にも注目が集まる…。
文=落合初春(おちあい・もとはる)