そんななか、ドラフト下位指名ながら、メディアを賑わせているルーキーがいる。昨秋のドラフト会議で、オリックスから10位指名を受けて入団した杉本裕太郎だ。
ドラフトで指名された88人中、87人目に指名された杉本。オリックス恒例ともいえる、イチロー(マーリンズ)との夢の合同自主トレでは、練習パートナーとしてまさかの指名を受けた。
新人合同自主トレで首脳陣の目に留まった杉本は、1軍キャンプに大抜擢。さらに視察に訪れたメジャー球団関係者からも、190センチ・88キロを誇る身体の大きさや、強肩ぶりを褒められたという。
徳島商では甲子園に出場し、青山学院大、JR西日本を経てプロ入りした杉本。社会人に入ってから体重は10キロ増えたといい、その日本人離れした身体から生み出される「爆発力」に自信を持つ、右の大型大砲だ。
「オコエ(瑠偉)くんほど脚は速くないが、飛ばす力は彼よりもあると思う」と語るように、その飛距離が最大のウリの杉本。
まずは名前と顔を覚えてもらう必要がある新人選手にとって、この時期にマスコミに取り上げられることも、ある意味大事なことだ。
イチローからサプライズ指名を受けたり、そのデカイ身体がきっかけで話題になるなど、杉本にはプロで活躍するために必要不可欠な「運」もあるように思う。
キャンプはあくまでも開幕までの調整期間…というのは、レギュラーを確約されている一部の選手のみに当てはまる。杉本をはじめ、新人選手にとっては、首脳陣や先輩選手に顔と名前を覚えてもらう絶好の機会であり、死にもの狂いでアピールする期間だ。
もちろん、運や話題性だけでは、開幕1軍切符を手にすることは出来ない。キャンプ第2クールからは、先輩選手との厳しいサバイバル競争が待ち受けている。
紅白戦などで結果が求められてくるキャンプ中盤以降。杉本はもちろん、他球団の全てのルーキーズの今後に注目したい。
文=野球太郎編集部