昨シーズン、1軍、2軍、交流戦で「完全最下位」となったオリックスの希望の星といえるのが、吉田正尚だろう。シーズン途中にケガで離脱しなければ、新人王に輝いたかもしれないという活躍ぶり。63試合で打率.290、10本塁打、34打点という成績を残した
そして、オフシーズンはアジア・ウインターリーグ(AWB)に参加。ここで、シーズン途中離脱の悔しさを晴らすかのような、ブッチギリの活躍を見せる。18試合に出場して打率.556(54打数30安打)、6本塁打、29打点を記録し、安打、本塁打、打点、打率はリーグトップの成績だった。その結果、この大会の最優秀打者に輝いた。
ウインターリーグと言えば、吉田が生まれた1993年のオフシーズンに、イチローがハワイ・ウインターリーグに参加している。当時はまだ登録名が本名の鈴木一朗だった。イチローはこのウインターリーグで好成績を残し、参加チームの優勝に貢献した。
その翌年、登録名をイチローに変更。シーズン210安打の日本新記録、首位打者、最高出塁率、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞、正力松太郎賞、シーズンMVPを獲得し、大ブレイク。ウインターリーグの活躍をきっかけに大きく飛躍した。吉田もウインターリーグの活躍からのブレイクに期待したい。
また、今年の干支は丁酉(ひのととり)、これは甲子(きのえね)から数えると34番目にあたる。背番号34の吉田の飛躍年となる予感がするのは筆者だけだろうか…。
駿太も酉年生まれの年男だ。3月生まれなので、吉田よりも学年はひとつ上になる。この駿太もオリックスファンの期待が大きい選手。毎年、外野のレギュラーを獲るのではないかと言われているが、なかなか実現せずファンはやきもきしている。
守備では何度も好プレーでチームを助ける活躍を見せている。課題は打撃だ。2016年は105試合に出場して、打率.192、1本塁打、9打点、3盗塁という物足りない成績だった。糸井嘉男が抜けた今季、外野のレギュラー奪取のチャンスだ。
36歳のベテラン年男は岸田護だ。今季からはリリーフから先発に転向するという。2010年途中に先発から救援へ転向。クローザーや中継ぎで活躍した。
2016年は残念ながらほとんど活躍できなかったが、新たに先発投手として巻き返しを図る。投手陣の最年長で、信頼も厚い。岸田が投手陣を引っ張っていく姿を見せてほしい。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。