【第5位】中島宏之(オリックス)
ブチ切れ度「40%」
(9月21日/オリックス対西武/京セラドーム大阪)
中島宏之(オリックス)は、西武時代から打席で怒りを露わにすることが度々あった。この日もそうで、前打者のT-岡田に続き自らも死球を食らった刹那、「オラァ!」と相手投手・牧田和久(西武)を一喝。止めに入った捕手にも厳しい表情で「続けてやろ!」と迫る。
ただ、中島は「役者やったでしょ?」と試合終了後に振り返っている。どうやら、ナインに闘争心を与え、バッテリーに対しては内角を投げにくくさせる狙いがあったようだ。中島の名演技(!?)が功を奏したのか、チームは勝利している。
【第4位】マイコラス(巨人)
ブチ切れ度「60%」
(8月28日/DeNA対巨人/横浜スタジアム)
今の巨人で、マイコラスほど「ヒール」を演じられる選手はいない。憎いほど連勝を続け、プライベートでは美人妻と仲睦まじい様子を見せつける。
雨の横浜スタジアム。ただでさえ中4日での登板と厳しい条件なのに、1時間超の中断明けも「米国ではありえない」続投の指示。イライラを抑えきれず、打席では三振に倒れたあと、太ももでバットを真っ二つに折る。マウンドでは捕手・小林誠司のキャッチングに「ミットを止めろ」と大仰なジェスチャーで注文。
これで終わりなら100%に近いブチ切れだったが、余裕しゃくしゃくの表情で美人妻と帰宅するオチをつけられたので、ブチ切れ度は60%にとどめておく。
【第3位】岡大海(日本ハム)
ブチ切れ度「80%」
(10月27日/日本シリーズ第5戦/日本ハム対広島/札幌ドーム)
日本シリーズ第5戦。日本ハムがシリーズの流れを大きく引き寄せる一発となったのが西川遥輝(日本ハム)のサヨナラ満塁弾。この直前には、頂上決戦では珍しい乱闘寸前の騒ぎがあった。中崎翔太(広島)のストレートが1番バッター・岡大海の腰に当たると、岡が激高しマウンドへ歩み寄り両軍ナインが飛び出した。
明治大時代に日米大学野球でもエキサイトしたことがある岡は、大舞台になるとスイッチが入るのかもしれない。試合後、岡は「相手に負けたくなかった」と激高の裏にあった思いを吐露しているが、結果的に日本ハムナインの勢いを象徴する場面となった。
【第2位】バレンティン(ヤクルト)
ブチ切れ度「90%」
(7月8日/ヤクルト対中日/神宮球場)
バレンティン(ヤクルト)は豪快な一発が代名詞である一方、来日以来、毎年のように誰かと揉め事を起こしている印象を持つ人もいるのではないだろうか。ときに相手投手と口論になったり、味方の首脳陣・チームメートと衝突したり……。今季の場合は相手投手との乱闘騒ぎだった。
この日は初回にタイムリーを放ち、気分が乗ってきた3回の第2打席に事件がぼっ発。ジョーダン(中日)の内角ストレートが左上腕に直撃した瞬間、バレンティンは激怒しマウンドへ。ジョーダンも応戦する構えだったため、ヘルメットを投げつけ、乱闘のゴングが鳴った。
結果的にバレンティンは危険行為で退場。「自分としては故意に感じた、危険な行為は許されない」と件の死球を振り返ったが、残留を決めた来季こそ感情をうまくコントロールしてほしいものだ。
【第1位】オンドルセク(ヤクルト)
ブチ切れ度「100%」
(6月26日/ヤクルト対中日/神宮球場)
決定的な場面を目撃したわけではないが、事のてん末を見ると1位にせざるを得ない。
バーネット(レンジャーズ)の後継として、クローザーを担っていたオンドルセク(当時・ヤクルト)。しかしこの日は、レフト・比屋根渉のまずい守備も絡み3点のリードを吐き出してしまうと、降板後にベンチ内で激怒。首脳陣にも悪態をつくなど、ファミリー感が持ち味のヤクルトのチームカラーとは正反対の行為を繰り返し、翌日には無期限の自宅謹慎を課された。
その後、自ら2軍施設に赴き謝罪。事態は収束したように見えたが、7月半ばに有給休暇を取得した上で家族のアメリカ帰省に同行。プロ野球選手に有給休暇が存在すること自体が驚きだが、オンドルセクはそのまま日本に帰ってくることはなく退団。同月末からオリオールズでプレーするも振るわず、現在はフリーの身となっている。
それにしても「ヤクルトの助っ人」×「神宮球場での中日戦」はハプニングが起こりやすいのだろうか。「2016年プロ野球 勝手に珍プレー大賞ブチ切れ編」でワンツーフィニッシュしたのは偶然とはいえ、来季の関心事が一つ増えることとなった。
文=加賀一輝(かが・いっき)