まずは交流戦の通算本塁打ランキングから見てみよう。
1位 中村剛也(西武):70本
2位 村田修一(横浜〜巨人):55本
3位 阿部慎之助(巨人):53本
トップに輝いたのは、シーズン本塁打王に輝くこと6回のホームランアーチスト・中村剛也(西武)だ。
2005年、交流戦が始まった年に中村はレギュラーとなった。交流戦ではシーズン本塁打数(22本)の過半数を超える12本塁打を放ち、一躍、その名をセ・リーグにも轟かせた。
ちなみに、その12本中4本はマルチ本塁打、いわゆる「おかわり」である。
今季の交流戦はまだ3本塁打。トップを走るゲレーロ(中日)と柳田悠岐(ソフトバンク)は7本塁打なので、ラストスパートに期待したい。
2位は、昨季の交流戦までに52本塁打を放ち、通算ランキング3位につけていた村田修一(巨人)。今季は3本塁打放って2位に浮上した。
その3本塁打の内訳は3試合連続での2ラン、2ラン、満塁弾。今季はスタメンを奪われているが、やはり代打での1打席勝負よりも「スタメンで出場してナンボの男」だと、あらためて思わされた。
村田に抜かれ3位に後退した阿部慎之助(巨人)は、2010年の10本塁打を筆頭に、毎年5本前後をコンスタントに積み重ねてきた。
今季は8本塁打しているが、交流戦ではゼロ。泥沼の13連敗ショックを拭えないまま、交流戦は残り6試合となってしまった。1本でもアーチをかけて、盟主の4番の矜持、そしてファンに光明を見せたいところだ。
続いては交流戦本塁打王の回数ランキングを見ていこう……と思ったのだが、このランキングも1位は4度獲得の中村で、2位が2度獲得の李承?(元ロッテほか)、他の選手は1度ずつの獲得だった。そこで、趣向を変えて「気になった交流戦本塁打王」を挙げていく。
まずは2014年に8本のアーチをかけて、中村と交流戦本塁打王を分け合ったエルドレッド(広島)。
交流戦打率は.184と苦しんでいたのだが、本塁打を見ると87打数で8本。10.8打席に1本の割合で本塁打を放っていたことになる。本塁打率は悪くない。
この年のエルドレッドは37本で本塁打王に輝いているが、リーグ戦では367打席で29本塁打。12.6打席に1本という割合だ。つまり、交流戦ではシーズン以上のペースで本塁打を放ったことになる。
交流戦では、低い打率にだまされて痛い一発を食らった投手がいたかもしれない。
中日時代の1996年に39本塁打を放ち、本塁打王となった山崎武司。それから11年の時を経て、楽天時代の2007年には43本塁打で2度目のタイトルを獲得した。
山崎は2008年以降もコンスタントに本塁打を放っていたが、交流戦の本塁打王には縁がなかった。
しかし、2010年の交流戦では11本塁打と面目躍如。自身初の2ケタ本塁打をマークし、10本塁打の阿部慎之助を抑えて、堂々の交流戦本塁打王となった。
ただ、それで燃え尽きてしまったのか、2011年の交流戦は3本塁打。シーズンでも11本塁打止まり。2010年の栄誉は、頑張ってきた山崎に贈られた野球の神様からの最後のプレゼントだったのかもしれない。
前述した通り、交流戦本塁打王獲得回数を見ると中村の「4回」が最高。続くのは李承?の「2回」。そこでチーム単位にまで範囲を広げて「3回」の獲得を探してみると、ヤクルト勢が浮かび上がってきた。
2013年に10本塁打のバレンティン、2015年に9本塁打の畠山和洋、2016年に8本塁打の山田哲人と、交流戦本塁打王を3回生んでいる。
バレンティンは2013年に60本塁打を放ち、シーズン最多本塁打記録を更新。畠山は2015年に初タイトルとなる打点王を獲得。2016年の山田は主要打撃タイトルこそ獲れなかったが、2年連続のトリプスリー。3人とも交流戦での好成績をシーズン記録にしっかりとリンクさせている。
今季のヤクルトは畠山が離脱。山田もバレンティンも元気がなく、チームは交流戦期間中に10連敗を喫した。ただ、残り6試合は神宮球場でのホームゲーム。燕党の声援を後押しに、残りのシーズンにつながる奮闘を見せてほしい。
今年で13年目となった交流戦。それぞれの年の本塁打王などを洗い出したところ、まだ干支が一周しただけの年月ではあるが、懐かしい名前もちらほら。交流戦の歴史を感じられた。
ちなみに2005年の初代交流戦本塁打王は中村剛也(西武)、小久保裕紀(当時、巨人)、李承?(当時、ロッテ)、多村仁志(当時、横浜)が12本塁打で獲得。
交流戦最多本塁打は李承?の16本塁打で、36試合制で行われた2006年に記録している。その時の李承?の所属チームは巨人。ロッテ、巨人とチームをまたいで2年連続で栄誉に輝いたことになる。
このように、振り返っていくと興味深いデータが次々と飛び出してくる交流戦。どこまでも興味は尽きない。
文=森田真悟(もりた・しんご)