昨季、CSを勝ち抜き日本シリーズに進出したDeNA。特に先発陣は豊富で「穴」どころか「左腕王国」と呼ばれるほど。完全に整備が完了したかに見えた。
しかし、キャンプからじんわりとケガ人が増えている。?口遥大が左肩違和感、ウィーランドが右ヒジ痛で実戦登板なし。今永昇太も3月10日に左肩違和感で離脱し、20日にようやくブルペンで投球を再開したばかりだ。昨季、計31勝を挙げた三本柱の開幕不在もあり得るだろう。
さらにオープン戦で好投を見せていたドラ1・東克樹も18日に首痛で2軍戦登板を回避。軽症のようだが不安が残る。
開幕投手は2年連続で石田健大になりそうだ。しかし、石田は昨季は6勝6敗。防御率3.40は悪くない成績だったが、勝ち星を積み重ねることができなかった。
井納翔一も昨季は6勝10敗と黒星先行。日本シリーズの開幕投手を任されたが、5回途中7失点で第3戦からはビハインド時のリリーフに回った。ただし、シーズン防御率は3.84でこちらも及第点。この2人でたくましく勝ち星をもぎ取っていくほかない(※編集部注。3月25日、DeNA・ラミレス監督が井納の中継ぎ転向を示唆。井納は中継ぎに徹するとコメントした)。
三本柱不在の隙を突いて飛び出しそうな戦力もいる。3年目の熊原健人はオープン戦で3試合に先発した時点で防御率1.80。4試合の登板で6失点を喫して防御率を悪化させたものの、コントロール重視から球威重視のフォームに戻し、球に勢いが出てきた。
21歳の飯塚悟史も猛アピール中だ。7日の阪神線では5回を1安打無失点に抑え、18日のオリックス戦でもソロホームラン1本のみの6回1失点。やる気がみなぎっている。
さらにBCリーグ・富山GRNサンダーバーズからNPB復帰を果たしたバリオスも好調だ。ソフトバンク時代は外国人枠の関係もあって出番に恵まれなかったが、昨季はBCリーグで10勝4敗、防御率1.48と格の違いを見せつけた。
もともとバリオスは2011年に関西独立リーグ・神戸サンズに入団し、NPBに駆け上がったハングリー精神あふれる男。目の前の大チャンスを逃すはずはない。
「石田―井納―熊原―飯塚―バリオス」で5枚の算段は立つ。今永と東のどちらかが開幕に間に合えば、そこまでの痛手にはならないような気もする。ただし全員が期待通りの活躍をするとは限らない。
幸いにも高卒ルーキーの櫻井周斗が1軍に食らいつき、2年目の進藤拓也、笠井崇正もリリーフで存在感を示しつつある。念には念を、彼らを先発でテストしておくのもいいだろう。先発経験のある三嶋一輝を宙ぶらりんではなく、しっかりと先発として調整させて起用するのも手だ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)