セ・リーグの各チームの成績を並べてみると、一見してDeNAに足りないものがわかる。それは盗塁数だ。
リーグトップの広島の61盗塁に対してDeNAは半数以下のわずか25盗塁。筒香、ロペスを中心とした重量打線だけに、自ずと機動力を控える展開になりがちとも考えられるが、「ハマのリードオフマン」桑原将志やリーグ屈指の俊足を誇る梶谷隆幸と「走れる」選手はいる。
しかし、そのほかの選手は真っ向勝負の盗塁は望めないのが現実だ。石川雄洋や倉本寿彦は、一見、足が速そうなイメージだが、実際にはあまり期待できない。
打線につながりが出てきた今、得点差の少ないゲームを勝ちきるには、さらなる機動力が求められる。
DeNAには犠打も足りない。現在の犠打数は35。これもリーグ最少だ。対してリーグトップの中日は75犠打。ここでも半数以下の数字になっている。
思い起こせば、DeNAファンにとって犠打の失敗はよく見るシーン。ただ、各選手のバントの技術が著しく低いというわけではない。犠打数の少なさには別の理由がありそうだ。
1番・桑原が出塁した後、長打も狙える2番・梶谷には犠打を要求しにくい。そして、9番で「影のリードオフマン」を務める倉本は、前の打者が投手のため、走者を進める役割よりも出塁することが求められる。
また、本来であれば犠打を指示されるケースの多い捕手。だが、DeNAの捕手・戸柱は、今季、打撃好調だ。犠打でアウトを与えるのはもったいないという心理が、ベンチに働くに違いない。
これらの事情が犠打の少なさにつながっていると思われる。しかし、犠打も僅差のゲームを勝ち切るには不可欠な戦術なので、克服したいポイントだ。
筆者はDeNAの熱狂的ファンだが、一昨年あたりから横浜スタジアムにはほとんど行けていない。それは筆者の住む東京から横浜が遠いからではなく、チケットが取れないからである。
球団設立以来5年強、集客努力が実って今では常に満員。個人的にはガラガラだったハマスタにも愛着を覚えるが、けっこうなことだ。しかし、観客席に空きがない現状では、観客の増加率はこのあたりで頭打ちだろう。
そんなところに、なんと観客席を増設するという朗報が入った。2020年の東京五輪で野球とソフトボール主会場に承認されたことを受けて6000席を増設するという。85億円をかけて今シーズンオフから工事が開始される改修計画が発表された。
これで「足りなかった観客席」の問題は、来期以降好転する見込みだ。増設され3万5千人収容となるハマスタを満員御礼にするためには、今季の結果は重要だ。近い将来、リーグ制覇を期待できる戦いぶりを見せてほしい!
(成績は7月9日現在)
文=元井靖行(もとい・やすゆき)