7月12日に東京ドーム、翌13日に甲子園で行われる今年のオールスターゲーム。出場メンバーも徐々に固まりつつあり、あとは、セ・パそれぞれの最後の1人をあらためてファン投票で決める「プラスワン投票」による選出選手の発表を待つのみとなった。
今回もベテランから若手まで、多くのスタープレーヤーたちがグラウンドで躍動してくれるだろうが、ここでは「出場なら今回が初舞台」となる選手をピックアップしてみた。
(※成績は交流戦終了時点)
セ・リーグの投手陣では、4年目の今季、大ブレイク中の中川皓太(巨人)を挙げたい。登板数はチームトップの33試合で、8ホールド、9セーブを記録。スリークオーターの左腕から繰り出す150キロ級のストレートと鋭く変化するスライダーが武器で、ここまで交流戦も含めて本塁打は許していない。
ただ、オールスターゲームとなると、パ・リーグの強打者が集結する。交流戦で対戦のなかった山川穂高(西武)やデスパイネ、出場ができるなら柳田悠岐(ともにソフトバンク)といったホームランバッター相手にどう立ち向かうか、見てみたい。
セ・リーグの野手では、病床からの復活を遂げた原口文仁(阪神)の出場が期待される。昨年末に受けた人間ドックで大腸がんが発覚し、年明けに手術。そこからリハビリやトレーニング、ファームでの試合出場を経て、6月4日の交流戦から1軍へ。その日にいきなりタイムリー二塁打、さらに6月9日の日本ハム戦では、同点の9回裏にサヨナラヒットを放ち、甲子園のスタンドを感動で包み込んだ。重病から驚異的なスピードで現場復帰を果たした原口。球宴の舞台であらためて復活をアピールしてほしいところだ。
パ・リーグの野手では、かつて故障により出場を断念した茂木栄五郎(楽天)、荻野貴司(ロッテ)に、今度こそあの舞台に立ってほしい。
茂木は、2017年に遊撃手部門の選手間投票で1位となり、オールスターゲーム出場メンバーに入っていた。しかし、右ヒジ痛を発症し無念の出場辞退を余儀なくされてしまった。今季は開幕からバットが振れており、打率.306はリーグ6位。「もぎっ! もぎっ! もぎえーごろっ!」のリズミカルでクセになる声援がスタンドで響き渡るシーンを味わいたい。
荻野も2018年のオールスターゲームに監督推薦での出場が決まっていたが、その直前のカードで死球を受け、右手の人差し指を骨折。無念のリタイアとなってしまった。ハッスルプレーが目立つ荻野は、何度もケガに泣かされてきたが、初出場となりかけたオールスターゲーム直前の骨折は不運としか言いようがなかった。今季は打率が.335でリーグ2位、盗塁が17個で同3位と絶好調。出番があれば、パ・リーグの切り込み隊長としてのパフォーマンスが期待できる。
パ・リーグの投手陣では山本由伸(オリックス)のピッチングが楽しみだ。高卒3年目の若手で、昨季は主にセットアッパーとして54試合に登板し、防御率2.89。先発に転向した今季は、11試合に登板し3勝3敗ながら防御率は1.85。勝敗がつかなかった5試合のうち、4試合は7イニング以上投げて1失点以下。援護があれば、二ケタ近く勝っていてもおかしくないピッチングを披露している。
セ・リーグのファン投票で選出された筒香嘉智(DeNA)は、その時点で出場が決まっていないにもかかわらず対戦したい投手として山本の名前を挙げていた。最速156キロのストレートに筒香がどう挑むのか、ぜひ見てみたい対決だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)