全国津々浦々、今後ぜひ機会があったら、みんなにも聴いてもらいたい! ブラ清水くんおすすめの学校と応援曲を選んでもらった。
ブラバン応援ウォッチャー・ブラ清水くんにブラバン応援の素晴らしさを語った前回はこちらから読めます
★山梨学院大付(山梨)
今春のセンバツで初お披露目された「BIG WAVE」が最近一番のお気に入り。野球部OBのミュージシャンの方が、母校の20年ぶりのセンバツ出場を祝って提供された曲だそう。ノリがよくて、カッコよくて、僕の印象ではちょっとおしゃれな感じの曲です。
★大体大浪商(大阪)
大阪大会は鳴り物禁止なので吹奏楽ではないですが、応援としてすばらしいのが浪商。ここ一番のときの「わっしょい」。腹の底から声を出すような感じで、ひたすら「わっしょい」を連呼する応援があります。シンプルだけど、本当に力がある。ノリノリもいいですが、こういう硬派なおもーいやつ、大好きです。
★田辺(和歌山)
チャンスのときに始まる「田辺が大将」という曲での応援が特にいいんです。
★専大松戸(千葉)
専大松戸しか使っていない珍しい曲があります。僕が一番好きなのは「つなひき帝国」(=オリックスが得点したときに歌う曲)。すごくノリがよくて、誰が聞いても楽しいような曲。オリックスファンの人が聞いたら、たぶん、おーっ! ってなるんじゃないでしょうか。専大松戸が甲子園に出たら、応援的にも全国で注目される学校になると思います。
★高崎(群馬)&前橋(群馬)
2校とも同じで、チャンスのときは、あえて吹奏楽の演奏をしません。声と太鼓だけの応援になります。高崎だったら「いけ・いけ・たかさき」、前橋なら「いけ・いけ・まえばし」。ただひたすらそれを連呼するんですよ。高崎が2年前センバツに出たときも、延々「いけ・いけ・たかさき」って、疲れるんじゃないかっていうぐらい。チャンスになったら、行くぞー! みたいな感じで。みんな腹から声を出してるし、すごい迫力やなと。
どちらも男子校。声で思いを伝えるっていう。それこそまさに「ホントの応援」という感じがします。
★市立和歌山(和歌山)
全曲オリジナルで、既存の曲はないです。レパートリーは6曲ぐらいですが、それぐらいあれば十分。全曲好きですね。
★東農大二(群馬)
市立和歌山と同じく、東農大二も全曲オリジナル。やはり6曲ぐらいなんですが、どれもいいです。群馬と和歌山は応援のいい学校が多いと思います。
★創成館(長崎)
雑誌やテレビでも紹介されていますが、校長先生が応援団長。試合では太鼓を叩いて声も出して。校長先生の応援へのやる気が注目ポイントですね。パ・リーグの応援曲などが多いですが、かと思いきや「千本桜」をやったり。バリエーションは結構ありますが、個人的にはもっと珍しい曲も取り入れてほしいなあと。なんせ校長のやる気があるんで、どんどんよくなっていくだろうと、期待ができます。そういう面で楽しみ。また甲子園に出てきてほしいです。
★東京学館浦安(千葉)
地元がディズニーランドのある浦安だけあって、ヒットを打ったときに、ディズニーの「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー」を演奏するのが特徴。同じ千葉では、八千代松陰もこの曲をやっています。
★日大豊山(東東京)
特徴は演奏のテンポの速さ。「スーザフォン」ていう白い貝殻みたいな形の楽器があるんですが、その低音の力強い響きがいいんです。
★金光学園(岡山)
チャンスのときに流れるオリジナル曲「金光マーチ」がいい。この曲は大阪の金光大阪もやっていて、僕は金光大阪が甲子園に出場したときに初めて聴きました。
★前橋育英(群馬)
昨夏の甲子園、全国で初お披露目された「Run and Go」というオリジナル曲が好きです。試合の最初、1回攻撃の1番バッターには必ず流れます。
★横浜商大高(神奈川)
一言でいうと、統率のとれた応援。オリジナル曲と定番曲と珍しい曲「パイプライン」などをうまく合わせているところがいい。大学野球っぽいスタイルの応援です。
★西武台千葉(千葉)
チャンスのときに「ビクトリーストーム」と「アルプス一万尺」を合わせた応援があります。そのノリがむちゃくちゃいい。軽快で、自分も勝手に体が乗っていく感じで、聴いてても見てても楽しくなります。
★市立柏(千葉)
吹奏楽の強豪校だけあって、音のよさが際立ってます。レパートリーも多いですね。地元のチーム・柏レイソルの「レッツゴー柏」の演奏も。Jリーグの応援を吹奏楽バージョンで聴けるという貴重な機会だと思います。
★東海大甲府(山梨)
オリジナル曲と定番曲を合わせた応援です。オリジナル曲は独特。僕の感覚では、オーケストラっぽいというか、壮大な感じ。野球場では聞いたことがないような感じの曲調です。
★日立第一(茨城)
残念ながらこの夏はもう負けてしまったんですが、「SEE OFF」という曲の日立第一バージョンのノリがすごい。みんなジャンプしたり、声もむちゃくちゃ出てて、ど迫力です。
★畝傍(奈良)&郡山(奈良)
どちらも“音頭”という共通点があります。畝傍は「畝(うね)高音頭」があって、ヒットを打ったときや点が入ったときなどに、部員らが踊っています。郡山には「郡(ぐん)高音頭」があります。郡山は昔強かったんですよね。復活してほしいっていう思いも込めてのプッシュです。
「あとは、駒大苫小牧(北海道)とか、三重(三重)とか。もちろん智弁学園(奈良)、智弁和歌山(和歌山)ははずせないですし、龍谷大平安(京都)、横浜(神奈川)にしても…。言い出したらきりがありません!」
ブラ清水くんの応援話はまだまだ尽きないが、今回はこのへんで。
今年の夏はどんな応援シーンに胸を熱くするのだろうか。つづきはまたいつか。どこかの球場で!
■プロフィール
清水祥人(しみず・よしと)/1983年生まれ、大阪府出身。拓大紅陵高(千葉)をきっかけに応援曲の世界にのめり込み、2004年から球場でのナマ録音を始める。2010年には『高校野球小僧』で、業界史上初の「ブラバン・スカウティングレポート」を発信。ブラスバンド応援に精通していることから、筆者が勝手に“ブラ清水くん”と命名。会社員。
■ライタープロフィール
小林美保子(こばやし・みほこ)/兵庫県在住のライター。東京のスポーツライター事務所を経て、フリーとなる。取材活動は地元・兵庫を中心に近畿、中国地方などを幅広くカバーしている。