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阪急、オリックスの系譜。オリックス・2014年入団組の3人は「花の44年トリオ」を継げるか。


 7月1日に育成選手だった園部聡が支配下登録、3日に1軍登録された。これによって、若月健矢、奥浪鏡、園部聡の2014年入団の3人が同時に1軍のベンチに座ることとなった。これからのオリックスを背負って立つトリオとして活躍するのだろうか。

ブレーブス黄金期、花の44年トリオ


 オリックスの前身、阪急ブレーブスの黄金期のトリオと言えば、山田久志、加藤秀司(英司)、福本豊の3人だ。この3人は昭和44(1969)年に入団「花の44年トリオ」と呼ばれている。

 阪急の黄金期は1975年から3年連続日本一を獲得した時期だ。それまでの阪急は、リーグ優勝はしても日本シリーズでは勝てないでいた。ちょうど巨人のV9時代で、阪急は5度も巨人に敗れている。

 西本幸雄監督時代に勝てなかった阪急は、上田利治監督にバトンタッチ。1975年に広島を破り念願の日本一に輝くと、1976、1977年は宿敵・巨人を破りV3を達成した。その時の中心選手が、山田、加藤、福本の3人だ。

 福本は1947年生まれ、山田、加藤は1948年生まれの同年代。いずれも高校卒業後、社会人野球を経て阪急に入団している。加藤と福本はプロの練習を目の当たりにして、こんな厳しい練習についていけるのかと思ったそうだ。山田は、米田哲也、梶本隆夫、足立光宏などの優秀な投手陣に入っていけるか不安だったらしい。

 プロ入り3年目の1971年には3人ともレギュラーになった。その年、阪急はリーグ優勝し、巨人と日本シリーズを戦うこととなる。1勝1敗で迎えたシリーズ3戦目、9回裏二死まで1対0でリード。しかし、先発の山田が王貞治にサヨナラホームランを打たれてしまう。

 打たれた後、山田はマウンド上でうなだれ、一歩も動けなかった。山田は「あのホームランのおかげで今の自分がある」と述懐している。阪急は1勝4敗で日本一を逃した。

 彼らがプロ入りして7年目の1975年に、阪急は広島を破り悲願の日本一へ輝いた。そして翌1776年には巨人を破って、ついに雪辱を果たすことができた。このシーズンの山田は最多勝、最高勝率、MVP。福本は盗塁王、加藤は打点王、最高出塁率などのタイトルを獲得。まさに向かうところ敵無しの黄金期を迎えたのだ。

2014年のリベンジを


 現在のオリックスの中心となるトリオは誰なのだろうか。

 2014年のリーグ2位への躍進は、安達了一、T−岡田、伊藤光が軸になった。リーグ優勝を逃した「10.2」に彼らが涙した姿は、1971年に打たれた山田とダブった。3人の年齢は、ちょうど44年トリオの黄金期に近い。

 あの時の涙は、彼らを成長させたのだろうか。阪急が巨人に雪辱を果たしたように、2014年の悔しさを晴らすことができるだろうか。


そして未来のトリオは?


 7月5日の対ソフトバンク戦。スターターに2014年入団組の名前が並んだ。

5番 指名打者 園部
7番 ファースト 奥浪
9番 キャッチャー 若月

 未来のオリックスを背負って立つ、期待のトリオだ。高卒入団3年目、今年の誕生日で21歳になる。

 まだまだ未知数だが、若月、奥浪、園部が将来のオリックスを牽引していくことに期待したい。


文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。

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