昨シーズン、畠山和洋はキャンプイン早々の2月4日にぎっくり腰を発症し離脱。開幕には間に合ったものの、満足のいくシーズンを送ることはできなかった。
6月に左手有鉤骨(ゆうこうこつ)骨挫傷の発症により登録抹消。2軍でリハビリを進めていたが、7月末にはアキレス腱痛が再発。シーズン終了まで1軍復帰は叶わなかった。
秋季キャンプではベースランニングや、内野ノックなどができるまでに回復しておりリハビリは順調に進み、春季キャンプでは1軍メンバー入りを果たしている。
今シーズンが3年契約の2年目となる主砲だが、レギュラーは確約されていない。新外国人選手として、畠山と同じ一塁を守るグリーンが加入。キャンプから正一塁手の座を争うこととなる。畠山も厳しい立場を自覚しており、契約更改時には「やらないと後がない」と語っていた。
優勝を目指すには主砲の復活が不可欠。昨シーズンは冬眠していた「2015年の打点王」が目を覚ます瞬間をファンは待っている。
昨シーズンは3年連続の開幕投手を任され、エースとしての独り立ちを期待された小川泰弘。
しかし、シーズン序盤から調子は上がらず6月下旬には登録抹消。復帰後の8月には5試合に登板し4連勝をマークし、自身初となる月間MVPを獲得。復調したかに見えたが、9月以降は勝ち星がなく終盤戦は4連敗でシーズン終了となった。
2ケタ勝利に届かず8勝9敗。防御率4.50は規定投球回に到達した投手の中で最下位……。エースと呼べる投球には程遠い成績だった。
小川はシーズンオフに開幕投手を目指し、自主トレを敢行。昨オフから親交のある上原浩治(カブス)とトレーニングを行い「上原流フォーク」の握りを教わった。ブルペンでの評判は上々で新たな武器となりそうだ。
小川は「去年はフォークが落ちない時があった」と語っており、フォークの精度が上がることで、投球に大きな改善が見られるだろう。
ヤクルト投手陣は長らく石川雅規に頼り切っている。今年こそ「ライアン小川」が目を覚まし、自他ともに認めるエースに成長することを期待したい。
昨シーズン、オリックスを自由契約となりヤクルトに加入した坂口智隆。スローガンより一年早く崖っぷちから目を覚ました男は、チーム最多の141試合に出場。打率.295と好成績をマークし、リードオフマンとしてチームを引っ張った。
その坂口と同様に自由契約を乗り越え、楽天からやってきたのが榎本葵だ。九州国際大付高から2010年にドラフト4位で楽天に入団。長打力を期待されたものの結果を残せず、2015年オフに育成契約となった。
昨シーズンは2軍で60試合に出場し、打率.287の成績を残したが無念の戦力外通告。しかし、ポテンシャルの高さに惹かれたヤクルトに拾われた。
1軍での実績はない榎本だが、2014年オフにはU-21W杯の日本代表にオーバーエイジ枠で選出されているなど、2年前は期待のホープだったのだ。まだ、ブレイクの可能性を秘めている。
楽天では花開かなかった榎本だが、新天地で目を覚まし、まずは左の代打で戦力となることを期待したい。そして、レギュラーを目指してほしい。
文=勝田 聡(かつた・さとし)