投手力が課題と言われ続けてきたDeNA。昨季はリーグワーストのチーム防御率3.80だったが、今季はリーグトップのチーム防御率3.33と投手陣の躍進が目立っている。
ルーキーの今永昇太や熊原健人をはじめ、砂田毅樹、三上朋也と若手の活躍も光る。ファームで育成中の選手の中に、更なる有望株はいるのだろうか。2軍のちょっと変わった起用法とともにDeNAの若手に迫ってみたい。
日本文理高(新潟)時代は1年夏からベンチ入りし、秋からはエースナンバーをつけるなど早くから期待されていた飯塚悟史。2年夏から3年の春夏と3季連続で甲子園出場を果たした。高校2年秋の明治神宮大会では計3本塁打を放つなど打者としての評価も高かったが、2014年のドラフト7位で投手としてDeNAに入団した(写真は高校時代の飯塚)。
2013年ドラフト2位でHonda熊本からDeNAに入団した平田真吾。ルーキーイヤーから1軍での登板に恵まれ、2年目の昨季は28試合に登板と、着実に実績を重ねてきた。
ところで、DeNA2軍の投手起用は一種独特だ。
イニングの途中での交代がほとんどないのである。
ここまでDeNAの2軍は72試合を消化しているが、イニングの途中で投手が交代したのは6回しかない。そのうち5回は先発投手の交代で、リリーフ投手がイニングの途中で交代したのは1回だけだ。
この起用法は2014年から見られ、2014年は10回、昨季も12回しかイニング途中での投手交代がなかった。2013年はイニング途中での投手交代が54回あったが、最近3年は激減している。
チームの方針なのかどうかはわからないが、どれだけピンチを招いても、どれだけ失点を重ねても最低1イニングは投げることで多くの経験を積めることはたしかだ。
そういった経験が、今季の若手投手陣の躍進につながっている可能性もある。
文=京都純典(みやこ・すみのり)
1977年、愛知県出身。出版社を経て独立。主に野球のデータに関する取材・執筆を進めている。『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)、『野球太郎』(廣済堂出版)などに寄稿。1軍はもちろん、2軍の成績もチェックし、分析している。