交流戦が終わり、ペナントレースは開幕から3カ月が経過した。ここまでの序盤戦で各球団とも、よきにつけ悪しきにつけ「予想外」の出来事があった。その「予想外」をチームごとに振り返っていきたい。まずはパ・リーグから。
ソフトバンクは故障者が続出。柳田悠岐、中村晃、上林誠知と外野の主軸3人が揃って離脱する期間もあり苦しんだ。
一方で釜元豪や周東佑京といった若手が頭角を現してきたのは、故障者が多かったからという側面もある。仮に序盤から主力が健在であれば、若手の出場機会は限られていたはず。予想外の故障者続出が、若手の躍動につながったといえそうだ。
昨シーズン最下位だった楽天が予想外の好調をキープしている。則本昂大が開幕前に離脱。岸孝之も開幕戦で故障により途中降板となり、エース2枚を欠く苦しいローテーションでシーズンは始まった。
しかし、松井裕樹をはじめとしたリリーフ陣が踏ん張りながら上位争いを続けている。また打線も浅村栄斗、ブラッシュといった新加入組がそろって結果を残しているところも見逃せない。
まさにチームの勢いそのものが予想外の上位争いといってもおかしくはないだろう。
西武は増田達至の復活が予想外だった。2016年、2017年ともに28セーブをマークし、昨シーズンも守護神と期待されていた増田。しかし、不振が長引き、配置転換も経験。セーブ数は半減し「14」、防御率5.17と大きく成績を落としていた。
今シーズンも開幕当初は中継ぎでの起用だったが、好調が続き、シーズン序盤から守護神としての起用も増えた。6月17日現在、29試合で防御率1.65はキャリア最高の数字でもある。投手陣に不安のある西武の中で光っている存在だ。
また、浅村栄斗(楽天)が抜けた打線は不安視されていたが、杞憂に終わった。秋山翔吾、森友哉、山川穂高が中心となり、今シーズンも破壊力は健在。333得点はリーグトップの数字となっていることがその証と言えるだろう。
西川遥輝が予想以上に盗塁を失敗している。リーグ5位タイとなる11盗塁だが、盗塁失敗はなんと3つもある。昨シーズンは44盗塁に対し3盗塁死。失敗数が早くも並んでしまったのである。球界屈指の「盗塁のスペシャリスト」だけにここからどこまで盛り返していくのか注目が集まる。
投手陣では有原航平が覚醒した。2016年、2017年と2年連続で2ケタ勝利をマークしていたが、昨シーズンは8勝止まり。防御率は4.55と今ひとつの状況だった。しかし今シーズンはすでに8勝を挙げ、防御率1.96はリーグ3位。ドラフト指名時に“モノが違う”と評されたポテンシャルを発揮している。それもある意味、予想以上の好投を見せているといってもいいだろう。
ロッテは涌井秀章、石川歩、ボルシンガーの3本柱が揃って苦戦。とくに昨シーズンは13勝2敗と11の貯金を作ったボルシンガーが、1勝3敗と借金を2つ作ってしまっている。
また開幕投手を任された石川は2度の登録抹消もあり、ここまで3勝3敗の五分。涌井も3勝4敗と借金を抱えている。これは井口資仁監督にとっても予想外の出来事だったに違いない。
一方で岩下大輝、種市篤暉、二木康太といった若手投手たちがローテーションに定着。種市は4勝1敗とチーム最多となる3つの貯金をつくっている。
旧3本柱が新3本柱へと移り変わりそうなのは、首脳陣はもちろん多くのファンにとって予想外だったのではないだろうか。
今シーズンから先発に転向した山本由伸が予想外、いや予想以上の投球を続けている。昨シーズンはセットアッパーで起用されていたこともあり、スタミナ面で不安視されていた事実がある。
しかし、その不安を初登板でいきなり払拭した。8回途中までノーヒットピッチング。9回1安打無失点と好投。味方の援護がなく白星こそつかなかったが、最高の投球を見せた。以降も好投は続き、防御率1.63はリーグトップ。まさに予想外の投球でチームを牽引している。
(※成績は2019年6月17日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)