ひっそりと表舞台から消えた平沢だが、そもそもオープン戦から報道量はグンと減っていた。その原因はバットに快音がなかったこと。
オープン戦成績:12打数1安打 打率.083
7三振を喫した平沢は「1軍は早すぎる」と判断された。伊東勤監督が「まだまだ雑」と評したように守備面でもプロのスピードに適応するまでには至らなかった。
本人もそのスピード感の違いは痛感しており、2軍からの再出発が決まった際には、一からの出直しを誓っている。打撃面ではオープン戦の成績以上に評価をもらったが、やはり連係などが緻密なショートというポジションは、平沢をもってしても高卒1年目から、易々と手に入るものではなかったということ。
外野手であるオコエとは違う、ポジションの壁がやはりあったのだ。
その後、イースタン・リーグ開幕から平沢は2軍で己を磨いている。
4月7日時点で、12試合に出場。38打数10安打で打率.263、1本塁打、4打点。初本塁打も放っている。一時は打率が1割台に低迷していたが、ようやく持ち直し、現時点では高卒1年目のルーキーとしては上々のバッティングを見せている。
ちなみに、坂本勇人(巨人)の高卒1年目の成績は77試合で打率.268、5本、28打点。これを考えると、打撃は現在の数字を維持できれば大いに期待できそうだ。
一方で課題の守備は……というと、こちらは12試合で4失策。守備率.935。まだまだ改善の余地を残す数字となっている。
オコエと比べ、報道量は激減しているが、そのポテンシャルは本物。1軍デビューに向けて、平沢がどんな成長曲線を描くのか。2軍戦での活躍、プレーにも注目していきたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)