10月17日、2019年プロ野球ドラフト会議が開催された。贔屓球団のドラフトの出来についてファンから悲喜こもごもの声が上がっていることだろう。しかーし、2019年のドラフトが終わったということは、週刊野球太郎的には「来年のドラフトに向けた戦いが始まった」ということである。
1年早く、2020年のドラフト上位候補を探ってみたい。
現段階で高校ナンバーワン投手といえるのは、やはり中森俊介(明石商高)だろう。1年夏に甲子園デビューを果たすと、2年春にはエースとして甲子園に帰還。春夏連続4強の原動力になったのは記憶に新しい。
最速151キロは世代トップ。変化球はやや課題を残すが、高いレベルでの「課題」。今の段階でもドラフト中位は狙えるぐらいの完成度だ。一冬越えてどこまで成長するか。
同じく明石商高の来田涼斗もスカウト人気が高い。今春のセンバツでの2本塁打で一気に名を上げた。甲子園の強豪に躍り出た明石商高の象徴でもある。
走攻守三拍子揃っていることはもちろん、180センチ82キロの体でねじ切れんばかりのフルスイングができる。伝統的に兵庫の高校野球界では小技や機動力が重視される傾向にあるが、来田は「大阪っぽい」とも評される。近年は大阪勢や全国強豪のパワーに悩まされてきた兵庫県勢だが、明石商高が重い扉をパワーでこじ開けようとしている。
智辯学園で2016年春のセンバツを制した優勝投手が大学でも結果を残している。高校時代から抜群のスタミナと安定感を有していたが、ストレートは140キロ前後、当時は公称173センチとやや小柄でプロの評価は上がりきらなかった。
しかし、東洋大では順調に成長中。最速を147キロまで伸ばし、昨春に先発に定着。今春の東都大学リーグ戦では9試合で6勝0敗、70回で防御率0.77(1位)の圧倒的な成績を残し、MVPに選出された。今秋も55回1/3回を投げ、防御率0.98と好調を維持している(10月16日現在)。
戦国東都でこの成績はすさまじい。もう小柄も小粒も関係ない。実戦派即戦力として計算できる投手に成長した。
大学ナンバーワン野手の呼び声高いのは佐藤輝明(近畿大)。187センチ92キロの体格で俊足、強肩強打の持ち主。いわゆるフィジカルモンスター。「糸井嘉男(阪神)2世」と言われている。今年は選考合宿中にケガしたため、侍ジャパン大学代表から外れたものの、順調だったら、堂々の主力を張っていたに違いない。
2年時には侍ジャパン大学代表の紅白戦で上茶谷大河(現DeNA)に本塁打を浴びせている。今、もっともプロスカウトが集まる野手といえる。
文=落合初春(おちあい・もとはる)