首都圏でも地方でもドラフト候補の「宝の山」!大学野球の各リーグ戦から有力選手を要チェック!
9月13日に東京六大学リーグが開幕し、全国すべてのリーグ戦が開幕した。大学野球といえば、「6チームでリーグ戦方式、2勝先取の勝ち点制」が定番であるが、今春から首都大学リーグが8校による2回戦総当たり、勝率制に変わった。この秋から関甲新学生リーグも群馬・新潟/埼玉・栃木・茨城/山梨・長野という3地域で予選リーグ戦を行い、その上位チームが決勝リーグ戦(予選、決勝ともに総当たりの勝率制)を行い、優勝チームを決める方式になり、また、東都大学リーグの2部は神宮第二球場から各大学の球場で戦うことになった。これらの変化がどのような結果の変化がもたらされるか、今後の大学野球界の動きに注目したい。
その大学野球界で一番の目玉の選手は有原航平(早稲田大)になる。187センチ90キロの馬力を感じさせる体躯から放たれる最速156キロのストレートは威力満点だ。1位重複指名は確実視されているが、今夏の海外遠征で大学日本代表に選出されなかったり、今秋のリーグ戦の開幕週では右ヒジの違和感で登板を回避した。だが、それほど深刻ではないようで、27日からの試合には復帰できそうだ。
同じく早稲田大の中村奨吾も右打ちの二塁手として評価が高い。しかし、13日、14日の2試合ではタイミングが合わず、打撃の調子が上がっていないようだ。ここから短期間で打撃を立て直すことができるか注目したい。
東京六大学リーグで注目のドラフト候補は、山?福也(明治大)、石田健大(法政大)の左腕コンビだが、今年は調子が上がってこない。その代わりに、3年生の上原健太(明治大)や2年生の加藤拓也(慶應義塾大)といった下級生の台頭が目立つ。来年、再来年のドラフト候補に目をつけておくのもいいだろう。
中村に続くドラフト候補の野手というと、岡部通織(立教大)。プロでも人材が枯渇している右打ちでパンチ力ある打者の小野田俊介(早稲田大)や藤本知輝(慶應義塾大)が、相対的に高評価を受ける可能性がある。野手もまた下級生に魅力ある選手が多く、谷田成吾、横尾俊建(ともに慶應義塾大)、?山俊(明治大)、大城洸二(立教大)といった3年生や、2年生の佐藤拓也(立教大)らがリーグ戦で活躍する将来が期待される選手たちだ。
▲谷田成吾(慶應義塾大)
東都大学リーグでは山?康晃(亜細亜大)に注目が集まる(近況は9月9日更新の「みどころランキング」を御覧ください)。右腕の山?に対して、左腕で評価が高いのは島袋洋奨(中央大)、田中大輝(國學院大)、戸根千明(日本大)の3投手だ。興南高で甲子園春夏連覇した島袋だが、大学では停滞気味で、今年は春も秋もリーグ戦になるとストライクがまるっきり入らなくなってしまった。田中は3年まで1部では未登板、2部時代の2年春に1試合だけ公式戦で投げただけだったが、今春に4勝1敗と急成長。大学日本代表にも選ばれた。しかし、開幕して3週が経つ、秋のリーグ戦ではまだ投げていない。その一方で、評価を上げ、順調に投げ続けるのが戸根だ。大学入学時は細身の体だったが、20キロ体重を増やし、175センチ90キロという体に成長し、140キロ後半の威力あるストレートを投げ込む。
野手では江越大賀(駒澤大)のアスリート系の素質が高く評価されている。また、実戦的な守備、走力が売りの福田将義(中央大)が今秋、打撃でも猛アピールしている。
▲江越大賀(駒澤大)
下級生では、今永昇太(駒澤大)は3年生ながら東都を代表する投手に成長。野手では、北村祥治(亜細亜大)、柴田竜拓(國學院大)、吉田正尚(青山学院大)の3選手が日本代表入りした好選手だ。
今春の大学選手権を制した東海大では常道翔太が走って、守って、パワーもある大型外野手。確率を高めることができるか、リーグ戦で注目したい。3年生エースの吉田侑樹が大学日本代表でも好投し、来年のドラフト戦線に急浮上してきた。東海大が所属する首都大学リーグでは3年生ながらエースの西村天裕(帝京大)も評価が高い。
その他のリーグでドラフト有望投手は、変則的なフォームでも投球術でも幻惑する浜田智博(九州産業大)、タフネス右腕・田中英祐(京都大)、佐野泰雄(平成国際大)、進藤拓也(横浜商科大)、風張蓮、玉井大翔(ともに東農大北海道)など。
▲京都大から初のドラフト指名選手となるか? 田中英祐
野手では、外崎修汰(富士大)、長谷川拓真(国際武道大)、ルシアノ・フェルナンド(白鴎大)、野間峻祥(中部学院大)、飯田遼(奈良学園大)といった名前が挙がってくるが、投手陣と比べると「上位候補」というには少し物足りない。
3年生には前述以外にも、多和田真三郎(富士大)、笛田怜平(福岡工業大)、唐仁原志貴(福岡大)、熊原健人(仙台大)という来年のドラフト候補に挙がるだろう投手を、今から定期的に見続けるのもいいだろう。
大学野球界で、今一番の旬の選手は田中正義(創価大)だ。2年生だが、150キロ台を連発した大学選手権で一気にブレイク。大学日本代表入りし、海外のチームにも通用したパワフルな投球は今年のドラフトでも指名したいと思わせる逸材だ。他にも下級生に有望投手が多い創価大はリーグ戦からぜひ見ておきたいチームである。
▲田中正義(創価大)
ここまで紹介した選手の中には、プロ志望届を提出せず、社会人へ進む選手もいれば、急成長し、ドラフト戦線に浮上してくる選手もいる。近年では、首都圏の大学と地方の大学との差がなくなり、全国どこからでも、雨後の竹の子のように成長する大学生が増えてきている。また、高校野球を経て、より洗練された選手が生き残り、てっぺんのレベルはプロ即戦力の怪物級となる。「野球」のみどころ満載である大学野球、見に行って損はしません。
(文=編集部)
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