公式戦開幕前の3月8日には、鳴尾浜球場で近畿大学とプロ・大学交流戦を行った阪神2軍。この試合では今秋のドラフト候補でもある、近畿大の畠世周(近大福山高)が先発登板して5イニングを投げた。140キロ台後半のストレートに加え、カーブ系の変化球など緩急を使い分け、阪神打線を3安打2奪三振に抑えて好投。結果、プロ球団が大学生相手に0-1で敗れてしまう。この精神的ダメージを受けたのか、阪神2軍は開幕戦から連敗スタート。小笠原道大新監督率いる中日に3連敗を食らってしまった。
しかし阪神には、帝京大からドラフト5位で入団した新人・青柳晃洋や、昨季はBCリーグの福井ミラクルエレファンツで武者修行を積んだ佐村トラヴィス幹久など、飛躍を期待できる投手もいる。右のサイドハンドの青柳は、変化球主体の投手でスライダーのキレ具合が面白い。佐村は課題の制球力を克服すれば、ホップするようなストレートは打者にとって驚異となるだろう。
ウエスタンで注目を浴びるのは阪神だけではない。ご存じ、3軍制を敷くソフトバンクは選手育成のメイン球場として、「タマホームスタジアム筑後」を完成させた。こけら落としとなる、3月19・20日の対広島2軍戦のチケットはすでに完売するほどの盛り上がり。そして19日に迎えた開幕戦は、2×ー1で劇的サヨナラ勝利をおさめたのだった。
選手層の厚さは12球団トップクラスを誇るソフトバンク。育成選手のなかではともに3年目の捕手・張本優太や内野手の曽根海成に期待したい。特に曽根は、フェニックスリーグでは鼻を骨折しながらプレーしたガッツある選手だ。
広島は育成選手の松浦耕大投手と木村聡司内野手を、四国アイランドリーグplusの愛媛マンダリンパイレーツに派遣した。選手にとっては出場機会が増え、受け入れる側にとっては「補強」できるといったメリットがある。
また、オリックスにも有望選手が多い。2015年ドラフト育成1位で入団した塚田貴之は打者の手元で伸びるストレート、スライダーなどの変化球にも伸びしろを感じる投手。同じく育成2位入団の捕手・赤松幸輔は183センチ、113キロと体格面でも恵まれており、ひと際目立つ存在だ。
育成選手を観ることができるのは、ファームの試合に限られている。盛り上がるウエスタン・リーグに足を運び、前述した育成選手たちに注目することで、将来的には球団を背負って立つ選手に巡り会えるかもしれない。
文=野球太郎編集部