2015年にはトリプルスリーを達成し、チームの日本一にも大きく貢献したソフトバンクの柳田悠岐。しかし2016年は、シーズン序盤は四球攻めもあってリズムに乗れず、終盤には負傷による戦線離脱。12月21日に福岡の球団事務所で行われた契約更改では、前年から1000万円ダウンの2億6000万円となってしまった(金額は推定)。
しかし、契約更新後の会見では、「ケガをしたので、そこがいちばんダメだった」と言い訳せず。
来季に向けて、「全試合出るのがレギュラー。ケガなく1年間戦って、全試合出て、また日本一になりたいと思います」と決意を新たにした。
たしかに、打率は昨年の.363から.302、本塁打数は34本から18本、盗塁数も32個から23個と、トリプルスリー3部門の数字はガクッと落ちた。安打数も昨年の182本から50本以上も少ない131本。ベースの年俸が高いだけに、ダウンも致し方ないところか。
ただし、2016年の柳田の出塁率は.446。パ・リーグトップというだけでなく、12球団一でもあった(セ・リーグ1位は坂本勇人の.433)。
しかも、2016年のメジャーリーグの出塁率ナンバーワンで、アメリカン・リーグMVPにも選出されたマイク・トラウト(エンゼルス)の出塁率.441をも上回った。
ちなみに、昨季も柳田の出塁率.469は12球団一、メジャーリーグの出塁率トップだったブライス・ハーパー(ナショナルズ)の.460を超えていた。
豪快なスイングで、逆方向にも強い打球を飛ばすことでもおなじみの柳田。それでいて選球眼もいい。四球の数は2年連続リーグトップで、2016年には100個の大台に乗せている。勝負を避けられた敬遠の四球も増えているが、それもある意味、スラッガーの勲章とも言える。
思い起こせば、2015年オフには「40本塁打、40盗塁」の目標を掲げていた。ソフトバンクのV奪回へ向けて、あるときは出塁率の高さと機動力でチャンスメイクし、またあるときは勝負強い打撃でポイントゲッターとして、両面の働きができるこの男の復活は不可欠だ。
あらためて、フォーティーフォーティー(40-40)に迫るギータの大暴れを来季は期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)