2016年の干支は申(さる)。申年と言えば、プロ野球界に燦然と輝くあの世代の選手達がそれにあたる。歴代でも記録、記憶共に活躍を見せてくれた選手の多い申年生まれの選手を紹介したい。
申年生まれの選手は、現役では1980年生まれが10選手、1992年生まれが22選手と、合計32選手存在する。そのうち1980年生まれの大半は、松坂世代と呼ばれる黄金世代だ。来年で36歳を迎える彼等は、現在ベテランに位置し一大勢力であった同世代も年々少なくなってきている。
それでも、球界史上でも屈指の黄金世代からは、多数のタイトルホルダーを輩出している。世代の筆頭とも呼べる松坂大輔は、日米通算164勝をあげ、最多勝3回、最多奪三振4回、最優秀防御率2回、沢村賞1回と、球史に燦然と輝く大投手である。
松坂以外の主な現役選手は、村田修一、杉内俊哉(ともに巨人)、永川勝浩(広島)など、そうそうたる面子が揃っている。
1992年の世代は、今年の顔、山田哲人(ヤクルト)を筆頭とした伸び盛りの選手が多数在籍。山田は言わずと知れたトリプルスリー達成の現役NO.1プレーヤーだ。
その山田に続くのが、山?康晃(DeNA)。新人ながら、開幕からクローザーを勤めリーグ3位の37セーブをあげ新人王を獲得。来年以降もチームの顔として活躍が期待される。
他にも、同じくクローザーとしてブレークした中崎翔太(広島)や、ホークスの強力ブルペン陣の一角をになった森唯斗(ソフトバンク)、西川遥輝(日本ハム)、宮國椋丞(巨人)など、期待の若手が大勢いる。
現役も強力ながら、松坂世代の1世代前の1968年の申年はさらに強力だ。球史に名を残す名手が大挙存在するこの世代、その中でも際立っているのが、日本人メジャーリーガーのパイオニア野茂英雄である。
日米で巻き起こしたトルネード旋風は伝説の領域に達している。日米通算201勝、メジャー両リーグでのノーヒットノーランなど、記憶にも記録にも残る大投手だった。
野茂に次ぐのが、来季から阪神タイガースの監督に就任した金本知憲だろう。世界記録1492試合連続フルイニング出場、日本記録の1002打席連続無併殺打など、規格外の記録を持つ大選手である。
学年は1つ上だが、佐々木主浩も申年だ。日米通算381セーブを挙げるなど、絶対的守護神として一時代を築いた世界の大魔神も代表格と言えるだろう。
さらには、KKコンビとして社会現象を巻き起こした桑田真澄も申年。日米通算313セーブの高津臣吾、403本塁打の山崎武司、現カープ監督緒方孝市など、そうそうたるメンバーが揃っている。
ちなみにシーズン55本塁打のタフィ・ローズも申年生まれ。金本、山?、ローズの3人の通算本塁打を合わせると1343本。それだけでも歴代最強クラスと言えるだろう。
このように、期待の若手からレジェンドまで大豊作の申年選手。今年生まれる申年の子供達の中にもここで紹介した選手以上の選手が生まれるかもしれない。そんな申年のジンクスを信じたい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)
広島カープをこよなく愛する中年男子。代打やクローザー等、主役ではなく一瞬の輝きを見せる選手に魅力を感じる通気取りな側面もある。サミー・ソーサに憧れメジャーリーガーを目指すも、野球経験が乏しく断念した。