まずは先発投手陣。昨年、14勝8敗とひとりで6個の貯金を稼いだマイコラス(カージナルス)が抜けたのは、たしかに痛い。ただ、その分の穴を埋める星勘定はできている。
まずは西武からFA移籍してきた野上亮磨だ。昨年は11勝10敗。パ・リーグでこれだけの成績なら、セ・リーグだと好転する可能性が高い。というのも、パ・リーグのチームのほうが全体的に強いからだ。過去10年、交流戦でパ・リーグが勝ち越したのが9回、同じく日本シリーズでもパ・リーグのチームが8回日本一に輝いている。昨季の野上の貯金1は、もっと増えても不思議ではない。
さらに、昨季はゴタゴタがあってほぼ戦力になっていない山口俊の巻き返し、シーズン後半だけで6勝を挙げた畠世周の成長も期待できる。
そして、リリーフにも昨季いなかった投手がいる。澤村拓一と上原浩治だ。
澤村は、肩の故障で昨季は全休。復活を期す今季は、3月21日までのオープン戦で4試合に登板し、5回1失点(自責点0)、防御率0.00。コンディションは整ったと見ていいだろう。
上原は、3月20日のオープン戦で1回を無失点。実戦に乏しい調整のなかで、帳尻を合わせるあたりはさすが。10年ぶりの日本球界復帰で戸惑う部分もあるだろうが、すぐにアジャストするはず。
この2人に、マシソンとカミネロが昨年同様の働きを見せれば、後ろは盤石となる。
野手では、なんといってもゲレーロの加入が大きい。昨季の巨人はチーム最多本塁打がマギーの18塁打で、55年ぶりに20本塁打以上の選手が不在という事態。しかし、昨季35本塁打でタイトルを獲得したゲレーロが不名誉な記録を払拭してくれるだろう。
そして、伸び悩んでいた岡本和真と吉川尚輝が、今季はやってくれそう。オープン戦では、岡本が打率.280、4本塁打、13打点。吉川が打率.268、1本塁打、2打点と奮闘している。さらにドラ5ルーキーの田中俊太も打率.273、1本塁打、1打点とプロで通用するパフォーマンスを見せている。また、彼らに触発されたか、辻東倫、中井大介、吉川大幾といった中堅どころも元気がいい。
阿部慎之助が1割を切る打率となっているのは懸念材料だが、今年39歳になるベテランでもあり、オープン戦のチーム状況を踏まえると、あと12本塁打に迫った400本塁打達成に向けて徐々に調子を上げてくれれば文句ない。
明らかに戦力が厚みを増している巨人。故障者さえ出なければ、昨季、広島につけられた16.5ゲーム差は縮められるはず。4年ぶりのV奪還へ、巨人の戦いぶりから目が離せない。
(成績は3月21日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)