9月24の横浜スタジアムには、番長こと三浦大輔の引退試合を見に行くつもりだった。しかし、9月22日の試合が雨で流れたため引退試合も延期。大盛り上がりのはずの引退試合、そして、横浜スタジアムのレギュラーシーズン最終戦が同時キャンセルとなってしまった。
追い打ちをかけるように、試合開始時間は大雨により30分遅延……。
しかし、最悪な状況で始まったDeNA対巨人の一戦は、終了時に「来てよかった」と感じられるほどの感動を与えてくれた。
この時、DeNAと巨人は2位争いをしていた。試合前の時点では2.5ゲーム差で巨人がリード。残り試合は巨人が6、DeNAが3。直接対決はこの日が最後だった。
数字を見ると圧倒的に巨人有利ではある。しかしDeNAは前日、東京ドームでの巨人戦に筒香嘉智の満塁ホームランなどで12対4と大勝。勢い十分で本拠地に戻ってきた。DeNAに失うものはなかった。
試合はロペス、筒香嘉智、梶谷隆幸と打つべき人が打ち、雨が降っていることを忘れさせてくれるような6対5の逆転勝ちだった。
この日は楽しめる試合展開だったが、それ以上に気になったことがあった。ハマスタで感じた野球文化だ。
この日のハマスタには満員札止めの案内が出たが、大雨ということもあり、いつものように超満員ではない。ところどころ空席が見える。コンコースに避難しているファンが多いからだ。
DeNAファンは雨の中でも傘をささない。現地観戦では暗黙のマナーとなっている傘をささないという行為。これがなかなか難しい。筆者が全試合訪れた神宮球場では、残念ながら雨が降っていると試合開始後でも大きな傘を広げたまま観戦するファンがいる。
同じ雨の試合だったが、横浜スタジアムでは傘の数そのものが圧倒的に少ない。それは皆一様にチームカラーと配色した青のポンチョを着ているからだ。来場者プレゼントで配られたものを着ているファン、スタジアムの売店で買ったファンもいるだろう。
いつからか自然発生的に、傘をさすのではなくポンチョを着る「野球文化」が育まれたのだと筆者は推測する。ただ単に観客動員が増えただけではなく、少しずつかもしれないがハマスタの「野球文化」ができているのだ。
余談だが、来年のヤクルトのファンクラブには、ポンチョが特典となっているコースが用意されている。筆者はもちろんポンチョを選んだ。
来シーズン、雨中の神宮球場で傘をささずにポンチョを着用する「野球文化」が広がることを願う。
文=勝田 聡(かつた さとし)