■栗山英樹監督(日本ハム)
年俸:7000万円
87勝
1勝あたり80万4598円
■緒方孝市監督(広島)
年俸:7000万円
89勝
1勝あたり78万6517円
チームのお財布に優しい2016年の「最強コスパ監督」は、日本シリーズで対決した栗山監督(日本ハム)と緒方監督(広島)。
両監督とも、限られた戦力をやりくりしながら90勝近い白星を稼いでくれるのだから、球団としてはありがたい存在に違いない。
結果を出したことで来季の年俸アップは必至だが、来季も今季同等の結果を望むなら、たとえ1億円払っても惜しくないと思わせてくれる(栗山監督の場合で、今季の勝ち星で換算すると1勝あたり約114万円になる)。
■伊東勤監督(ロッテ)
年俸:8000万円
72勝
1勝あたり111万1111円
■ラミレス監督(DeNA)
年俸:7000万円
69勝
1勝あたり101万4493円
■真中満監督(ヤクルト)
年俸:7000万円
64勝
1勝あたり109万3750円
チームをCSに導く、もしくはCS争いに加わらせた監督で、コスパがいいと感じさせたのは伊東勤監督(ロッテ)、ラミレス監督(DeNA)、真中満監督(ヤクルト)の3名。
1勝あたりの金額も、2016年の監督のなかでは、まさに「高すぎず安すぎず」、絶妙のあんばいといったところ。
フロントとしては契約しやすく、監督自身もさほどクビを気にすることなく采配をふるえる「Win-Win」の関係が築けているようだ。
■田邊徳雄監督(西武)
年俸:5000万円
64勝
1勝あたり78万1250円
■福良淳一監督(オリックス)
年俸:5000万円
57勝
1勝あたり87万7193円
今季のパ・リーグのBクラス田邊徳雄監督(西武)、福良淳一監督(オリックス)だが、フタを開けてみると1勝あたりのコスパは栗山監督や緒方監督とほぼ同等。
特に田邊監督に関しては采配を疑問視するファンも多かったが、コスパの側面から見ると、年俸なりの采配はふるえていたことになる。
ということは、西武もオリックスも監督にもう2000万円積んでいたら優勝争いに加わっていた? そんな可能性も否定できない……。
このことから、責めの一端はフロントも受け止めるべきだったのかも。
■工藤公康監督(ソフトバンク)
年俸:1億円
83勝
1勝あたり120万4819円
■高橋由伸監督(巨人)
年俸:1億円
71勝
1勝あたり140万8451円
ともにシーズン2位で、CSはファイナルステージで敗退という結果に終わったソフトバンクと巨人。
工藤公康監督(ソフトバンク)と高橋由伸監督(巨人)の1勝あたりのコスパは高めだが、チームの成績はまずまず。監督としての責務は果たしたと思っていいだろう。
ただ、高橋監督は、広島の緒方監督と比べると1勝あたりのコスパが約2倍。80勝を挙げ、「1勝あたり125万円」にはしておきたかったところだ。
いずれも金満球団だが、コスパがいいに越したことはないだろう。
■梨田昌孝監督(楽天)
年俸:1億円
62勝
1勝あたり161万2903円
■金本知憲監督(阪神)
年俸:1億2000万円
64勝
1勝あたり187万5000円
ワーストコスパのトップ2となってしまったのは、梨田昌孝監督(楽天)と金本知憲監督(阪神)。
両監督とも新しいチーム作りの最中ということもあり、勝利だけでなく、「育成」面への期待も込めた年俸になっていると思われるが、それでも「貰い過ぎ」「払い過ぎ」の感もある。
2016年に蒔いた種を2017年にどれだけ刈り取れるか。もし、勝ち星が伸びなければ、また、2017年シーズン終了後のコスパチェックで「コスパの悪い監督」になってしまう……。
「年俸」を指針にした監督の能力検証、いかがだっただろうか。
年俸には、チームの懐事情や思惑が含まれるため、必ずしも監督の能力が正当に反映されるものではないが、それでも「1勝あたり」で考えると意外な数字が見えてくる。
その「1勝あたり」のフィルターを通したときに、自分のひいきの監督はどう映るか。
ちなみに西武ファンの筆者は田邊監督に対し、「そんなに責任を背負って辞めなくても……」という気持ちになった。
文=森田真悟(もりた・しんご)