球団名を「埼玉西武ライオンズ」にあらためて臨んだ2008年のシーズン。そのメモリアルな年に、幸先よくリーグ優勝してCSへ出場。第2ステージ(現ファイナルステージ)で迎えた相手は、2位のオリックスを敵地で2勝0敗と圧倒してきた日本ハムだった。
西武は初戦に大勝するも、2戦目は日本ハムのエース・ダルビッシュ有(現ドジャース)に完封負け。3戦目も序盤にリードされ、反撃もむなしく逃げ切られるという嫌な試合展開で星取表を五分に戻される。
しかし、4戦目で石井一久が7回を3失点にまとめて勝利。5戦目は涌井秀章(現ロッテ)が完封と先発が踏ん張りを見せて連勝し、CSを突破した。
日本シリーズでは巨人を4勝3敗で下して日本一を達成。ちなみにこのシリーズで大活躍した片岡易之(現治大、巨人)は、先日、今季限りでの引退を表明した。
2010年の西武は、前半戦を首位で折り返しながら後半戦で大失速。ソフトバンクにわずか2厘差で優勝を譲り、2位でフィニッシュとなった。
打線が火を吹いても投手陣が踏ん張れないというシーズン中の悪循環は、ロッテとのCSファーストステージでも当然のごとく襲ってきた。
まず初戦。5対1で迎えた9回表に同点にされると、延長10回はしのいだものの、11回に土肥義弘(現西武コーチ)が福浦和也に一発を浴びてジ・エンド。
2戦目も4対3でリードした9回表に1点を守りきれず、延長11回表に決勝打を許す、という初戦のリプレイのような展開で、1勝もできずにシーズンの幕を下ろした。
ブルペンの強化が急務となった西武は、この年のドラフトで大石達也(早稲田大)を1位指名。ピンポイントの補強をしたはずだったのだが……。
2011は、4月は最下位、5月は3位、6月は4位、7、8月は最下位……と3位から6位の間で順位を上下させ続ける。最高で15の借金を抱えるなど、苦戦が続くシーズンだった。
そんななか、9、10月で26勝10敗と一気に攻勢をかける。最終戦でオリックスを勝率5糸(0.00005)だけ上回り、最後の最後で3位に滑り込み。CS出場権を獲得した。
右肩下がりだった前年と異なり、シーズンの勢いのままにCSに突入できたのが功を奏し、ファーストステージは2位の日本ハムを2勝0敗と圧倒。
ファイナルステージのソフトバンク戦も、返す刀で「鷹狩り」なるかと思われた。しかし、0勝4敗で見事なまでの返り討ちに。最後の最後まで激しい浮き沈みを見せたシーズンだった。
2012年5月1日、西武の前身球団である西鉄のレジェンド・稲尾和久氏の背番号「24」が西武の永久欠番として引き継がれた。レジェンドへの思いも秘めて戦ったこのシーズンは、夏場に首位に立つものの、日本ハムとの優勝争いに破れて2位でシーズンを終えた。
起死回生を狙ったCSファーストステージの相手は相性の悪いソフトバンク。初戦を1対2で落とすものの、「苦手」などとは言っていられず、2戦目は武田翔太を打ち崩して7対0で勝利。星を五分に戻した3戦目は、リードされながらギリギリまで追い詰めたが2対3で破れ、力尽きた。
そしてこのオフ、正遊撃手としてチームを支えてきた中島裕之(現宏之、オリックス)がメジャーに移籍。チームは転換期に入った。
リーグ最速の10勝到達を決め、開幕ダッシュに成功した2013年の西武。ただ好調は長く続かず、一時はBクラスに転落するなど、振り返れば2011年並みに安定感のないシーズンになった。
終盤の盛り返しで2位を奪い、CSファーストステージの本拠地開催を決めたが、3位・ロッテとの差は1ゲームという、あってないようなもの。ファーストステージの結果も、初戦から1対11、15対0、1対4で西武の1勝2敗と、どちらが強いとは言い切れない内容だった。
ちなみに、初戦でロッテがCS(プレーオフ時代を含む)1試合あたりのチーム最多記録となる10本の長打を放てば、2戦目は西武が20安打でチーム安打記録を更新。ある意味で記憶に残るステージとなった。
日本一へと上り詰めた2008年を皮切りに、西武はここ10年で5回CSに出場している。ただ、振り返ってみると、2008年以外はファンとしても「よく出場できたものだ」と不思議がってしまうシーズンだった。
今季は2013年以来のCSに挑むことが決まっているが、過去に比べると「出場するべくして出場したチーム」に仕上がっていると感じる。
優勝は逃してしまったが、「強くなった」と思わせてくれるメンバーが、果たしてどんなプレーを見せてくれるのか。西武ファンの筆者は今から、楽しみでならない。
文=森田真悟(もりた・しんご)